『秘密～THE TOP SECRET～』第九を襲う試練　悪夢にとらわれた青木を薪は救い出せるか？

　最終章では、MRI捜査がもたらす問題がかつてないスケールで展開される。MRI映像を通して見るのは、故人の生前の記憶である。記憶はその人の足跡であると同時に、時代と社会を映す鏡でもある。脳の中に眠る点と点がつながって、想像もしなかった絵が浮かび上がる。カギを握るのは精神を病んで入院し、復帰した捜査員の瀧本だ。すでに第9話で薪と言葉の応酬があった。瀧本は何のために第九に戻ってきたのか。いずれにしても、薪にとって、過去を知る瀧本はやりにくい相手に違いない。

　原作リスペクトにあふれたドラマ版『秘密』は、実写化の大正解を叩き出した。今作以降、原作もののハードルは確実に上がるはずだ。絶妙なキャスティングに加えて、毎話、感心させられるのが二次元から三次元への移行のスムーズさだ。もともと原作のコマ割りは映画的な構図を持っているが、キャラクターの横顔のアップや室内の引きのショットなど、要所で原作を意識したカットが挟み込まれる。まるで脳内のイメージを映像化するように。台詞だけでなく、こうした映像面の工夫は原作への深い愛がなせる技だろう。

　泣いても笑ってもドラマ版『秘密』は残すところ2話。映像化されなかったエピソードや連載中の『秘密 season0』を映画館のスクリーンや連ドラのシーズン2で観たいという声は、日に日に高まっている実感がある。ファンの1人として制作チームには前向きな検討をお願いしたいところである。

■放送情報
『秘密～THE TOP SECRET～』
カンテレ・フジテレビ系にて、毎週月曜22:00～22:54放送
出演：板垣李光人、中島裕翔、門脇麦、高橋努、鳴海唯、利重剛、眞島秀和、國村隼ほか
原作：清水玲子『秘密-トップ・シークレット-』『秘密 season0』（白泉社『メロディ』連載）
脚本：佐藤嗣麻子
演出：松本佳奈、宝来忠昭、根本和政、稲留武
プロデューサー：豊福陽子、近藤匡、近藤多聞
音楽：小島裕規“Yaffle”
主題歌：「Iris」BUDDiiS（SDR inc.）
制作協力：C＆Iエンタテインメント
制作著作：カンテレ
©︎カンテレ
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