高橋克実が『べらぼう』で立ち上げる父親像 横浜流星との“対照さ”が存在感を生む

 本作の公式ガイドブックである『NHK大河ドラマ・ガイド べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~ 前編』(NHK出版)にて高橋は「大きさや力強さが大事な役どころですが、親子関係においてもそれを見せつけることになります。実の息子の次郎兵衛(中村蒼)を殴るのはもちろん、養子の重三郎のことも、襟首つかんで引きずり回して2階から投げ飛ばす。暴力で息子たちを圧倒するんです。(中略)横浜流星君も『好きにやってください』と引きずり回されてくれるし、中村蒼君も同じ。気持ちのいい人たちと一緒に暴れています」と、本作における市右衛門のキャラクターと、撮影の裏側について語っている。

 さらには、「たぶん、吉原の親父たちは吉原をいい街にしようなんて思っていないですよ。忘八ですから、女郎に対してもかなりひどいことを言うんです。かと思えば、茶道やあらゆることに通じた教養人たちなので、さらに怖い。これはそんな人物に囲まれて育った蔦屋重三郎の話です」とも。やはり高橋は、自身の演じる役どころがいかに蔦重に影響を及ぼすのかを理解したうえで芝居に臨んでいるようだ。

 若くしてすでに数多くの代表作を持つ横浜だが、とはいえまだ若手俳優のひとりである。こういったベテランの堅実な支えがあるからこそ、主演俳優は物語世界の中を自由に駆け回ることができるもの。横浜と高橋という世代違いのふたりの演技者の関係を見ていると、改めてそのことを認識させられる。ノるところはノり、シメるところはシメる。蔦重に、それを演じる横浜に、ひいては『べらぼう』という作品に対し、そうあり続ける。そんな高橋の存在が、じつに頼もしいのである。

■放送情報
大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』
総合:毎週日曜20:00〜放送/翌週土曜13:05〜再放送
BS:毎週日曜18:00〜放送
BSP4K:毎週日曜12:15〜放送/毎週日曜18:00〜再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK

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