『まどか26歳』は医療ドラマの総決算 飽和気味な医療ものに“軽やかに”一石を投じる傑作
もちろんそれは、医師の仕事や命の重さを軽んじているからではない。むしろ、TBS火曜22時枠仕様のキラキラしたパッケージに包まれつつも、まどかたちの仕事が奇跡の連続ばかりではないと赤裸々に描いているところが『まどか26歳』の良さだ。消化器内科編では、スキルス胃がんで若くして亡くなった中山(小久保寿人)との別れがあり、精神科編では、救命救急センターで出会った吉岡(金田明夫)に末期の肝臓がんが見つかり、思わぬかたちで再会を果たすことになった。医師として避けられない宿命に直面しながらも、誰かの死を決して感動的に昇華しない。その絶妙なバランスがとても軽やかに感じるのだ。
『まどか26歳、研修医やってます!』は医療ドラマであり、新米研修医が成長していくお仕事ドラマでもある。ならば本作が提示しようとしている“令和の医師の働き方”とはなんだろう。きっとその答えは、本作につけられた「逃げないことだけ、決めてみた」という名キャッチコピーに込められていると思う。新人だから迷惑もかけるし、己の無力さに打ちひしがれるときもある。けれど、角田(奥田瑛二)が「まあどんな名医も最初は研修医ですから」と言っていたように、誰もが最初は新人なのだ。その軽やかなエールは、4月から新社会人としての一歩を踏み出す若者たちに向けられているように感じた。
明日がどうなるかわからない。だから、頑張りすぎなくてもいい。ただ、逃げないことだけ、決めてみる。あとはご飯さえ食べていたら、意外と何とかなるのかも。いつか気持ちがついてくることは、まどか率いるイマドキ研修医たちが証明してくれる。
“お医者さんだって、幸せになりたい!”と願う主人公の研修医が、変わりゆく医療現場で戸惑いながらも、ベテラン医師たちの試練に立ち向かい、同期の仲間たちと励まし合って、医師として女子として、人生と向き合う姿を描く。
■放送情報
火曜ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』
TBS系にて、毎週火曜22:00~22:57放送
出演:芳根京子、鈴木伸之、髙橋ひかる、大西流星、吉村界人、小西桜子、渡邊圭祐、堀田茜、佐野弘樹、岩男海史、小松利昌、信川清順、板倉俊之(インパルス)、森カンナ、赤堀雅秋、溝端淳平、佐藤隆太、木村多江、奥田瑛二
声の出演:大塚明夫、大谷育江
原作:水谷緑『まどか26歳、研修医やってます!』『あたふた研修医やってます。』『離島で研修医やってきました。』(KADOKAWA刊)
脚本:前川洋一、船橋勧、松井香奈、村野玲子、原野吉弘
音楽:伊賀拓郎
主題歌:星野源「Eureka」(スピードスターレコーズ)
演出:井村太一、山本剛義、大内舞子
プロデュース:塩村香里、松本桂子
編成:武田梓
製作:TBSスパークル、TBS
©TBS
©Midori Mizutani/KADOKAWA
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