樋口真嗣、草彅剛との約20年ぶりのタッグを振り返る 「やっとチャンスが回ってきた」

 オリジナル版では高倉健演じる犯人側にスポットが当てられていたが、本作ではオリジナル版で千葉真一が演じた車掌側が主人公となる。その変更点について、「乗客との接点と窓口というのも含めて、一番やらなきゃいけないことが多く、一番責任があるのが、列車の中にいる人間の中では車掌さん。あと、何よりも昔に比べて人数が少ないんです。基本2人で、多くて3人なんです。それは今回調べてビックリしたことでもあるんですけど、こんなに1人の責任が重いのかっていう。だとしたら、この人を主人公にして、その事件と、その車両を受け持つ人間として責任の板挟みになっていくのが面白いんじゃないかなと思ったところ」と語った樋口。

『新幹線大爆破』で草彅剛が演じる主人公・高市

 その主人公となる車掌・高市役を演じるのは、樋口とは『日本沈没』(2006年)以来のタッグとなる草彅剛。樋口は「20年前はまだアラサーだったんですよね。一緒に映画を作り終わった後、草彅さんがいろんな作品に出る中で、観ていて嬉しい反面、自分が撮れない悔しさもあり、すごくやきもきしていたんですよね。草彅さんがよそでいい芝居をすればするほど、『あ、俺も撮りたい』みたいな。今回、やっとそういうチャンスが回ってきた」と草彅との約20年ぶりのタッグについて思いを述べつつ、「20年分の人生の深みが彼の中に醸造されていて、こちらから指示するのではなく、染み出てくる。今回の役はセリフが前に出るようなタイプではないので、誰かの芝居を受け止めて、こらえる感じ。『この顔が見たかった』と思った」と草彅の芝居を絶賛した。

 劇中では、草彅演じる車掌が車両から車両に飛び移るシーンが登場するが、もともと台本には書いていなかったという。そのシーンについて樋口は、「どうせだったら、なんかちょっとジャンプしたほうがいいんじゃないかなと思って。このぐらいならできるかなと思って、スタントチームにも入ってもらって検証の上、うまくいったんです。それで撮影が終わった後につよぽんから『監督さ、もう俺20年前と違うんだから』って言われて(笑)。20年のブランクを感じずにずっと一緒に仕事してた俺が間違ってました。 そうか、草彅剛もなんだかんだ言ってアラフィフなんだって。本当に申し訳ないことをしたけど、そんな無茶ぶりに応えてくれた草彅くんは本当に素晴らしいと思います」と撮影時のエピソードを明かした。

(左から)佐藤善宏、樋口真嗣

 JR東日本の特別協力を得て制作された本作。最後に樋口は「今までの日本映画では企画段階で諦めていたことが実現できたと思います。素晴らしいキャストによって、生き残りたいという欲望だったり、助かりたいという希望みたいな人間の最後に残されたもののぶつかり合いが、JRさんの協力を得た新幹線の中で繰り広げられます。そういうテーマに対してぶつかり合えるぐらいの環境を与えていただけて、本当に感謝しております」とメッセージを寄せた。

■配信情報
Netflix映画『新幹線大爆破』
Netflixにて、4月23日(水)世界配信
主演:草彅剛
監督:樋口真嗣
脚本:中川和博、大庭功睦
原作:東映映画『新幹線大爆破』(監督:佐藤純彌、脚本:小野竜之助/佐藤純彌、1975年作品)
エグゼクティブ・プロデューサー:佐藤善宏(Netflix)
プロデューサー:石塚紘太 
制作プロダクション:エピスコープ株式会社
企画・製作:Netflix

関連記事