『風、薫る』は“朝ドラ版『ベイビーわるきゅーれ』”を期待 見上愛の相棒は“新人”に?

 2026年前期NHK連続テレビ小説『風、薫る』の制作会見が1月24日に開催され、主演を見上愛が務めることが発表された。

 医療看護の世界に新たな風を起こした実在の人物・大関和と鈴木雅のトレインドナースをモチーフに描くバディドラマ。同じ看護婦養成所を卒業した2人が、患者や医師たちとの向き合い方に悩み、ぶつかり合いながら成長し、やがては“最強のバディ”になって、まだ見ぬ世界を切り拓いていく物語になるという。

 著書に『ネットと朝ドラ』(blueprint)、『みんなの朝ドラ』(講談社新書)を持つライターの木俣冬氏は、見上のヒロイン抜擢について、「驚きと納得、両方がある」と明かした。

「『風、薫る』の前作となる『ばけばけ』には髙石あかりさんがオーディションを経て抜擢されていたので、その次の作品は『スカーレット』の戸田恵梨香さんや、『まんぷく』安藤サクラさんのように、豊富なキャリアを持つ方が選ばれるのかなとなんとなく想像していました。見上さんは朝ドラ出演経験がなかったこともあり、驚きも最初はあったのですが、冷静に考えると複数の主演作で作品を担うことも経験済み、何よりも2024年の大河ドラマ『光る君へ』の演技を振り返れば納得でした。『風、薫る』の制作統括を務める松園武大さんは大河ドラマ『光る君へ』も手がけています。見上さんは『光る君へ』で藤原道長(柄本佑)の娘・彰子を演じていました。彰子は初登場時は自分の気持ちを表に出すことができない、あどけない“少女”だったのですが、苦しみや愛を知り、最終回では威厳ある強い女性へと成長した姿を見せました。朝ドラは長期間にわたる物語であり、少しずつ変化していくヒロインの姿を見せなければいけません。その点では見上さんはすでに変化を演じ分ける力があることを証明していますし、松園さんが彰子役を経て本作のヒロインに抜擢したのも大いに頷けます。今田美桜さん、髙石さん、見上さんとフレッシュな俳優たちが続くのも、若い世代の方にも朝ドラを観てほしいという思いがあるように感じます」

 そして、『風、薫る』のポイントは三倉茉奈と三倉佳奈が主演を務めた第79作『だんだん』以来となるダブル主演作であるという点。見上が演じる一ノ瀬りんと、その相棒・大家直美の物語となる。大家直美役は1月24日から2月中旬まで募集の上、オーディションで決めるという。木俣氏は「久しぶりに“新人”の抜擢を期待したい」と明かす。

「『カムカムエヴリバディ』の川栄李奈さんや、『ばけばけ』の髙石あかりさんなど、近年もオーディションによって選ばれているヒロインはいるのですが、いずれもすでに主演作も経験している実績ある俳優たちでした。撮影が長期間にわたることなどからも、“本当の新人”はなかなか難しいのは理解できます。ただ、今回は先に見上さんの発表をしていること、2人ヒロインということからも、“新人”といえる方の抜擢があるのではと予想しています。もし、一定以上のキャリアがある方を選ぶのであれば、見上さんとセットで発表した方が話題になると思うんです。だから、見上さんにとって最高の相棒となり得る方は新人から選ぶのではないかと。女性2人の主人公の近年の代表作といえば阪元裕吾監督作『ベイビーわるきゅーれ』シリーズが思い浮かびます。髙石あかりさんと伊澤彩織さん、この2人でなければ成立しなかった作品だと思いますが、2人が相互補完をするように互いの魅力を最大限に引き出しているように感じました。『風、薫る』も見上さんと最高の相性を発揮するキャストを期待しています」

関連記事