中山美穂さんが刻んだ“生きた証” 『日本一の最低男』『家政夫のミタゾノ』での存在感
1990年生まれの筆者は、中山さんの代表作を後から追うかたちで触れてきた。もっとも印象的なのは、やはり岩井俊二監督の代表作のひとつである『Love Letter』(1995年)だ。中山さんは、恋人の死から立ち直れずにいる渡辺博子と、そんな彼女と瓜二つの藤井樹という女性を一人二役で妙演。日本国内のみならず、アジア圏でヒットし、完全なる彼女の代表作となった。筆者はこの作品がとくに好きで、鑑賞している回数は10回どころではないほど。大切な何かを失ったことによる喪失感や痛み苦しみは、克服しなくても、乗り越えなくてもいい。それらすべてを抱えたままでいい。中山さんが体現する渡辺博子の姿にそのようなことを思い、生きるうえでの大切な軸にいまもなっている。
主演作である『サヨナライツカ』(2010年)、『新しい靴を買わなくちゃ』(2012年)、『蝶の眠り』(2018年)や、少女マンガを原作とした『ママレード・ボーイ』(2018年)、再び参加した岩井監督作品『ラストレター』(2020年)、そして『死刑にいたる病』(2022年)はリアルタイムで鑑賞してきた。これらすべてに、「中山美穂」という稀代の表現者の生きた証が刻まれている。私たちはまた何度でも彼女に会うことができるのだ。『日本一の最低男』の第3話では、どんな彼女と再会できるだろうか。
『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』をTVerで観る
■放送情報
『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』
フジテレビ系にて、毎週木曜22:00~22:54放送
出演:香取慎吾、志尊淳、冨永愛、増田梨沙、千葉惣二朗、向里祐香、佐野玲於、橋本じゅん、安田顕ほか
脚本:政池洋佑、蛭田直美、おかざきさとこ、三浦駿斗
演出:及川拓郎ほか
プロデュース:北野拓ほか
主題歌:香取慎吾「Circus Funk(feat. Chevon)」(トイズファクトリー)
制作協力:テレパック
制作・著作:フジテレビ
『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』©︎フジテレビ
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