リアルサウンド映画部のレギュラー執筆陣が、年末まで日替わりで発表する2024年の年間ベスト企画。映画、国内ドラマ、海外ドラマ、アニメの4つのカテゴリーに分け、アニメの場合は、2024年に日本で劇場公開・放送・配信されたアニメーションから、執筆者が独自の観点で10作品をセレクトする。第12回の選者は、映画コラムニストのアナイス（ANAIS）。（編集部）

1. 『ロボット・ドリームズ』
2. 『ダンダダン』
3. 『名探偵コナン 100万ドルの五稜星（みちしるべ）』
4. 『僕のヒーローアカデミア』シーズン7
5. 『逃げ上手の若君』
6. 『ルックバック』
7. 『インサイド・ヘッド2』
8. 『チ。―地球の運動について―』
9. 『戦隊大失格』
10. 『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』

　2023年に続き、2024年もアニメーション作品のベストを発表させていただくことに。今年は毎年進化していくアニメーション表現の先にある、「ユニークな物語」そしてそれを伝える「ユニークな映像表現と選択」が魅力的な作品が強く印象に残っている。

　『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション　前章』はもう設定そのものがユニークすぎる。浅野いにおによる同名コミックを映画化した本作は、大きなスクリーン×大音量で観るからこその迫力や爽快感はもちろん、門出とおんたん役の幾田りらとanoの演技が素晴らしく、2人が歌う書き下ろしの主題歌も最高だった。

　ユニークな設定が大好きなので、戦隊モノをテーマに「実は怪人よりもヒーローの方が悪どい？」という発想を持った『戦隊大失格』も毎週楽しく鑑賞していた。こちらもOP曲であるキタニタツヤの「次回予告」が映像共にかなり良く、今年の評価が高い作品は総じて曲も良いことに気付かされる。海外ドラマ『ザ・ボーイズ』のような、従来良いものとして描かれてきた存在について少し疑ってみる、そんな視点を持つ作品が好きな人には刺さると思うので、ぜひ。作画のクオリティの高さも好印象だった。この2つは、『チ。―地球の運動について―』にも共通している。

　“面白い視点”を語る上で外せないのが、ディズニー＆ピクサーの作品だ。『インサイド・ヘッド2』は「Anxiety（日本語のキャラ名はシンパイ）」を中心に、思春期の自己形成に焦点を当てており、10代から大人になっても抱え続けてしまうような「鬱」などのメンタルイシューをわかりやすく取り扱っているのが個人的に好印象だった。

　青春を扱った今年の劇場アニメーション作品といえば、『ルックバック』。藤本タツキによる同名コミックを映像化した本作は、藤野が初めて京本の絵を見て絶望するシーンで教室の生徒たちが増える演出など、間接的・比喩的にキャラクターの心情を描写することに長けている本作。公開前は一抹の不安さえあった「映像化の意義」が、「映像だからこそできる表現」によって拭われたように感じる。雨の中のスキップシーンはいつ観てもすごいし、クライマックスはいつ観ても心が沈んでしまう。