『放課後カルテ』牧野の優しさに説得力持たせた松下洸平 名演見せ続けた子役たちの卒業

「自分の体と心を大切に扱うのは、基本だが、案外難しい。無理や我慢はせず、人に頼ることを恐れず、これからも健康でいてほしい」

 児童たちが帰宅し、静まり返った放課後。牧野(松下洸平)が保健室で黙々と作成していた児童一人ひとりの“カルテ”には、そんな温かい言葉が添えられていた。

 ついに最終回を迎えた『放課後カルテ』(日本テレビ系)。思えば、このドラマは学校医として小学校に赴任してきた牧野が、「保健室にはなるべく来ないでもらいたい」と児童たちに言い放つ場面から始まった。その上、仏頂面で態度もでかく、みんなから恐れられた牧野。今なら分かる。あの言葉にも、牧野なりの優しさが隠されていたということを。

 だけど、伝え方や態度は案外大事で、「この人は味方でいてくれている」という安心感が、人が前に進むきっかけになるのだと牧野は児童たちから教わった。不器用なだけでもともと優しい人だけど、より一層心を尽くすようになった牧野だから貴之(塚本高史)も心を開いてくれたのではないだろうか。

 貴之といえば、かつて牧野が担当した患者・真琴(三浦綺羅)の父で、気持ちの行き違いでトラブルになってしまった相手だ。産休中だった養護教諭の岩見(はいだしょうこ)の復帰が決まり、6年生の卒業とともに保健室を去ることになった牧野だが、病院へ戻る前に親子と向き合う必要があった。

 真琴が「胸の痛み」を隠していることを知った牧野は、小児科医局長の高崎(田辺誠一)に許可を取って彼の自宅を訪ねる。以前と変わった牧野を見て、貴之が静かに語り出したのは亡き妻・雅(大沢あかね)のこと。雅は呼吸器疾患の手術を受け、まもなく退院する予定だったが、新型コロナウイルスに感染したことで亡くなったという。

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