『ライオンの隠れ家』“家族の物語”に相応しい最終回 小森家は誰もが帰ってこられる場所に

 ケアラーである主人公を描きつつも、従来のASDの登場人物を扱う作品の多くがしてきたようにASD当事者を記号化したり、物語全体を動かす道具として用いたりしなかったことが、このドラマの肝といえる部分。それゆえここで描かれた“家族”とは、それこそライオンの“プライド”と同義かもしれない。助け合うべきところは助け合い、それぞれが意思を持ち何かを成すことができる独立した存在であり、それを認め合える関係性。それができなかったのが橘祥吾(向井理)であり、そこにたどり着くことができなかったのが柚留木(岡山天音)であったように、登場人物たちは皆、あらゆる部分において表裏一体の関係といえよう。

 ウミネコのように自由な個の集合体であり、安全が担保された場所。愛生がすでに二度――一度目は結婚の挨拶のために母・恵美(坂井真紀)に会いにきた時だ――帰ってきたように、洸人も美路人もそれぞれが新たな道へ進んでも、自分の意思でいつでも自由に帰ってこられる。小森家はそんな場所でありつづけるのだろう。

■配信情報
金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』
TVer、U-NEXTにて配信中
出演:柳楽優弥、坂東龍汰、齋藤飛鳥、佐藤大空(子役)、柿澤勇人 、入山法子、岡崎体育、尾崎匠海(INI)、平井まさあき(男性ブランコ)、森優作、桜井ユキ、岡山天音、でんでん、向井理、尾野真千子
脚本:徳尾浩司、一戸慶乃
主題歌:Vaundy「風神」(SDR/Sony Music Labels Inc.)
演出:坪井敏雄ほか
編成プロデュース:松本友香
プロデュース:佐藤敦司
編成:吉藤芽衣、中野翔貴
製作:TBSスパークル
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/lionnokakurega_tbs/
公式X(Twitter):@kakurega_tbs
公式Instagram:lionnokakurega_tbs

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