成海璃子、『全領域異常解決室』で“鍵を握る”存在に 後半戦から増した二宮のの子の存在感

 藤原竜也が主演を務めるフジテレビ系水10ドラマ『全領域異常解決室』が最終回に向けて盛り上がりを見せている。今期のドラマは豊作という印象があるが、中でもSNSを中心に考察が巻き起こり、熱い激論が交わされているのが『全領域異常解決室』だ。張り巡らされた伏線が次々と回収されていく爽快感と、毎話起こるどんでん返し。『マイファミリー』(TBS系)や『キングダム』シリーズなどを手がける脚本・黒岩勉と『リーガル・ハイ』(フジテレビ系)シリーズの演出・石川淳一ということで放送前から期待はしていたのだが、その期待を大いに上回ってきた。

 主演の藤原を筆頭に、広瀬アリス、小日向文世、福本莉子、迫田孝也、柿澤勇人、小宮璃央、ユースケ・サンタマリアといった錚々たる俳優陣が名を連ねている中で、特に後半から存在感を増しているのが成海璃子だ。

 「神隠し」「シャドーマン」「キツネツキ」といった“超常現象”が描かれる一方で、その背後にはヒルコと呼ばれる未知の存在が暗躍しており、全領域異常解決室の藤原演じる興玉雅と広瀬演じる雨野小夢が協力して、ヒルコの捜索に乗り出す。物語が進むにつれて、内閣府直轄の世界最古と呼ばれる捜査機関・全領域異常解決室のメンバーたちは八百万の神であることが発覚し、物語は八百万の神vsヒルコの全面戦争となった。

 成海が演じているのは、警視庁捜査一課 ヒルコ専従班に所属する荒波健吾(ユースケ・サンタマリア)の部下で警部補の二宮のの子。超常現象やオカルトに対してはかなり否定的で、興玉がオカルトのたぐいを話し始めたときには、強い口調で切り捨てる。その一方で正義感の強い人物でもあり、興玉は二宮に対して「純然たる正義感が見える」 と発言していたこともあった。登場シーンは少ないものの、リアリスティックな二宮のキレのある発言は作品を引き締めていた。

 『TRICK』(テレビ朝日系)シリーズをはじめ、『瑠璃の島』(日本テレビ系)、『青天を衝け』(NHK総合)、『無伴奏』といったバラエティに富んだ作品に出演してきた成海。子役時代から注目を集めていた彼女だが、『あしたの私のつくり方』で第19回山路ふみ子映画賞新人女優賞を受賞し、若手俳優としてその後のキャリアは順風満帆なものになる。これまで清楚な人物を演じることが多かった成海が体当たりで挑んだ『無伴奏』は成海のリアルな息遣いを感じる演技で、ここまで繊細に人間の心の揺れを表現できるのかと思わされたものだ。

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