もう二度と作れない? テレビドラマ史に刻まれた『西部警察 PART-II』の超絶アクション

 『西部警察 PART-II』は数々の地方ロケも作品を彩る話題になった。これは当時、長期療養を終えて復帰した石原裕次郎が、応援してくれたファンへ恩返しの気持ちを込めて全国を横断しようという意図からであった。第10話、第11話の前後編は静岡、第18話と第19話は広島、第26話は札幌、新春放送の90分拡大枠だった第29話も札幌。放送終盤の第37話、第38話は名古屋という具合に、毎週放送の連続ドラマとしては異例なほどのロケ撮影を行なっている。

 浜名湖で撮影をした第11話の大型遊覧船の水上爆破、第38話で廃工場の巨大煙突が倒壊する描写は特に凄まじく、そのインパクトの強さゆえ、続編『PART-III』のオープニングタイトルに流用されたほどだ。それぞれロケ場所に選んだ地方各地の協賛企業とも綿密なやり取りをし、『PART-II』と『PART-III』を合わせ北海道から鹿児島まで、16道府県での撮影を敢行した。ロケに協力してくれた地元企業と関連会社は、番組内で実在の社名や商品名を出す工夫が織り込まれている。今回のホームドラマチャンネルの放送で、地方ロケ回での台詞回しや、さりげないカットでどんな企業が映るか、その辺りに注目しながら観るのも面白いだろう。

 『西部警察』シリーズ3作品で使用された火薬量は4.8トン、使用されたガソリン(爆発時の炎を大きくするため火薬と併用する)の量は12,000リットル、壊した車両台数が約4,680台、壊した建造物320件と、何から何までテレビドラマの規格外で、全国の平均視聴率は20%だった。飛ばしたヘリコプター数は600機に昇るが、大門役の渡哲也がヘリから身を乗り出しての狙撃シーンや、『PART-II』のオープニングタイトルで飛行中のヘリに掴まる三浦友和も見ものだ。このように役者自身が身体を張ったアクションも多く、今これだけの規模で作れる連続ドラマはないはず。その意味でも令和の今、『西部警察』は必見なのだ。

■放送情報
ホームドラマチャンネル
「石原裕次郎生誕90周年記念特別企画」石原プロモーション制作ドラマ総力特集
『西部警察 PART-II』(全40話)
12月14日(土)スタート 毎週土曜19:30~放送 ※3話連続
出演:渡哲也、三浦友和、舘ひろし、井上昭文、峰竜太、御木裕、庄司永建、高城淳一、吉行和子、登亜樹子、石原裕次郎
1982〜1983年
©石原音楽出版社
石原プロ特集特設サイト プレゼント企画も実施中!:https://www.homedrama-ch.com/special/ishiharapro

関連記事