2024年秋ドラマは“女性の奮闘”を描いた作品に注目 『無能の鷹』など原作ものオススメ3選

 さて、もう一つ気になるのが、世界中で愛された名作を大胆にもリメイクした『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』。原案小説は何度も映像化されており、エマ・ワトソンが出演した映画『ストーリー・オブ・マイライフ』も記憶に新しい。

『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』©日本テレビ

 今作では、長女・恵(仁村紗和)がハローワークの非正規職員、次女・涼(堀田真由)が勤めていたドラマ制作会社を辞め、学生時代から夢見ていた脚本家を志している。原案小説から着想を得てはいるものの、なかなか世知辛い設定だ。次女が女性の生きづらさに声を上げる一方で、保守的な長女は、横行するハラスメントを仕方なく受け入れているようにも見える。女性たちを取り巻く環境は今も昔も大きく変わらないのかもしれないが、2024年を感じるような、アップデートした結末を期待したい。

 上記3作品は、原作の実写化だけでなく、他人から“欠点”と見なされがちな特徴を持つヒロインが、ありのままの自分を受け入れながら、社会に立ち向かおうとしている点も共通している。「無能」「他人の嘘が勝手に判ってしまう能力」そして「現代社会とのズレ」。彼女たちが進む道は決してなだらかではないが、それでも前を向きつづける姿には、慌ただしい日々を乗り切るパワーを貰えるはずだ。

 他にも、好感度抜群の松下洸平が無愛想な保険医を演じる『放課後カルテ』(日本テレビ系)や充実した推し活ライフを描いた『つづ井さん』(読売テレビ)、とある定時制高校の科学部をモデルにした『宙わたる教室』(NHK総合)など、人気作を実写化した秋ドラマは多い。この秋は原作本を片手に、テレビドラマを通して、作品の新たな魅力を探してみてはどうだろうか。

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