『若草物語』“涼”堀田真由と“かなえ”筒井真理子が運命の出会い 他の姉妹にも変化が

 いい師匠というのは単に優しい師匠ではない。時に一緒に頭を抱え、ともに涙し、喜びを分かち合う。涼(堀田真由)にとってのそんな師匠との出会いが、日曜ドラマ『若草物語―恋する姉妹と恋せぬ私―』(日本テレビ系)第3話で描かれた。脚本家になる夢を叶えるために一念発起して脚本コンクールに応募した涼は、落選こそしたものの、審査員の1人だった人気脚本家・大平かなえ(筒井真理子)の目に留まり、かなえの下でアシスタントとして働かせてもらえることに。このかなえとの出会いが、涼の脚本家としての人生に予想外の化学反応を引き起こすことになる。

 この道40年のかなえは、長年ラブストーリーを書き続けてきた「恋愛ドラマの名匠」。執筆中の新作ドラマも、マッチングアプリで出会った今どき男女のラブストーリーだった。しかし、涼が打ち合わせに参加した段階で、脚本には第18稿との文字が。おそらくオリジナル作品なのだろうが、それにしてもかなり難航していることが伺える。上手くいけば脚本に携われるかもしれないと浮かれる涼だが、実際に彼女が担当することになったのは、執筆に行き詰まったかなえの相談役だった。

 涼は戸惑いを感じながらも、この機会を逃すまいと心に決める。脚本家になるためには"何でも"する覚悟を示した涼は、監督からの修正依頼に頭を抱えるかなえから「現代的でリアリティのある男性像を調査してほしい」と依頼される。その結果、涼はマッチングアプリを使って異性との出会いを模索することに。

 毎日、男性のプロフィール写真を眺めては右スワイプを繰り返す涼の姿に、律(一ノ瀬颯)は「恋愛しちゃうってこと?」と何となく不快感を覚える。律は、恋愛と向き合おうとする涼の姿が“涼らしくない”からだと主張するが、かなえは律の本当の気持ちを見透かしていた。「涼にとって好きを振りかざすことは暴力と一緒」と自分の気持ちを制する律に、かなえは興味をもったようだ。

 一方で、かなえの指示に従いアプリでの“リサーチ”のために外出した涼だが、ようやくマッチした人と実際に顔を合わせると、癖が強すぎて話の通じない人ばかり。ため息をつく涼は、同様にアプリでの出会いに苦戦している彩乃(木﨑ゆりあ)と出くわす。彩乃は、男性とのアポイントメントを繰り返すも、心惹かれる人が全く見つからず、アプリから抜け出せないでいた。

 涼はそんな彩乃の様子を、現代のリアルな恋愛の悩みとしてかなえに伝える。しかし、かなえが求めていたのは、あくまで恋愛ドラマに登場させたくなるような、リアルな男性の調査。執筆が思うように進まないため、かなえはプロデューサーから第1話を若手の脚本家に任せるよう打診されていたのだ。

 追い込まれたかなえが怒りながら自作の脚本を投げ捨てるシーンは、思わずクスッと笑ってしまうようなユーモラスな場面でもあったが、真っ直ぐで一生懸命な彼女の“脚本愛”も伝わってくるような気がした。涼の師匠はこの人しかいない。筒井真理子の演技には、創作のプロフェッショナルとしてのプライドや情熱が随所に垣間見えていたのではないだろうか。

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