“無断生成AI利用”に対して消費者がすべきことは? 梶裕貴が出した“先回り展開”の回答
10月15日、声優有志の会「NOMORE無断生成AI」が発足した。同会は声優や俳優、アーティストの音声を、無断で生成AIに学習させ創作を行うことに対して反対の意を表した団体である。
YouTubeチャンネル「NOMORE無断生成AI」にて公開された動画「NOMORE無断生成AI【第0弾】」では、『それいけ!アンパンマン』のばいきんまん役や『ドラゴンボール』シリーズのフリーザ役で知られる中尾隆聖がメッセージを残した。
中尾は、「私たちの声は商売道具であり、人生そのものであり、共に成長してきた大切な自分自身の一部です」としたうえで、「平和的な認識のすり合わせのための議論を有識者も交えて行い、文化的なルール作りをしていきましょう」と友好的に呼びかけた。動画には中尾のほか山寺宏一や中田譲治、朴璐美や梶裕貴といった総勢26名の著名な声優たちも出演しており、今回の件の深刻さが伺える。
また2024年5月には、俳優のスカーレット・ヨハンソンが、彼女の音声を無断でAIに学習させたとして、OpenAIに対して抗議したことも話題になったように(※1)、生成AIに対するアーティストの権利保護は重要かつグローバルな論点の一つだ。
AI生成とクリエイティビティ
近年のAI技術の発展は目覚ましく、生成AIを利用した「創作物」は度々話題になる。
とはいえ「AI絵師」などと(揶揄的に)言われることもあるように、参照元があまりにもあからさまなイラストは果たして「創作物」と呼べるのかといった議論もある。
また、既存の法律がどのような形で著作権などの権利侵害にあたるのかといったことには慎重な議論を要しており、文化庁が「令和5年度 著作権セミナー AIと著作権」をおこなったり(※2)、イラスト投稿プラットフォームは運営主によって生成AIを(部分的に)禁止するガイドラインを設けたりするなど、さまざまな施策がなされている(※3)。
このような、既存のコンテンツをあたかも「フリー素材」であるかのように自由に切り貼りして「創作」をおこなえてしまう状況は、悪い意味でニューメディア的だと言える。新海誠が(当時としては新しかった)Adobeソフトを用いた=「コピー/カット&ペースト」や「Ctrl+Zによる操作の取り消し」が前提となったパーソナルな制作環境からキャリアを築いていったことは肯定的に語られているし、DTMの発展は作曲環境を一変させ、音声ファイルの「カット&ペースト」は、極論を言えば音を聴いてさえいなくても誰にでもできる「作曲」となった。
デジタルファイルのサンプリングがあまりにも容易にできてしまう時代に、「素材の引用」と「商品の無断利用」をどのように線引きするべきか。あるいは我々はどのようにして生成AIの悪用に抵抗すべきなのか。