『おむすび』北村有起哉が“18歳”を演じられた理由 撮影の裏側を制作統括に聞く
連続テレビ小説『おむすび』が現在放送中。平成元年生まれの主人公・米田結(橋本環奈)が、どんなときでも自分らしさを大切にする“ギャル魂”を胸に、栄養士として人の心と未来を結んでいく“平成青春グラフィティ”だ。
第3週、結は糸島フェスティバルに向けて、本腰を入れてパラパラの練習を始める。一方、父の聖人(北村有起哉)は同イベントの手伝いを頼まれるも、糸島への複雑な思いからそれを拒否。結局、永吉(松平健)の戦略によって実行委員長という重役を担うことになってしまうわけだが、そんな永吉と聖人の間には長年にわたる確執があった。
2人の過去は、第12話の放送で明らかに。そして、該当の回想シーンで現在50歳の北村有起哉が“18歳の聖人”を演じたことが大きな話題を呼んだ。
制作統括の宇佐川隆史は「そもそも若い役者を起用しようという意思は、制作側に一切ありませんでした」とキャスティングについて明かし、「私たちの中には『北村さんなら演じられるよね』という謎の確信があったんです。『若さ=エネルギーだよね』ということで、無理にお化粧をしなくても、そのエネルギーを芝居で出してもらえればきっと大丈夫、そう思ってお願いしました」と説明する。
一方、北村本人にとっては青天の霹靂だったようで、宇佐川は「最初はものすごく驚いていました。『まさかですけど、私がやるんですかね?』と恐る恐る聞いて来られて、『もちろんです』とみんなで答えました。誰でもできるわけではありません。北村さんだからこそできると」と撮影前のやり取りを振り返る。
とりわけ印象的だったのが、長髪のカツラに赤いジャンパー。北村の意見も聞きつつ衣装合わせを進めていったというが、宇佐川は「そこは扮装部の頑張りどころだった」と力を込める。
「どうしても『大丈夫かな』と不安に思う北村さんに、『大丈夫です、私たちがしっかり仕上げますから』と。ですから、うちのスタッフには感謝しています。俳優部に気持ちよく、しっかりと演じてもらうには、やはり扮装部の力や、現場でのスタッフのサポートが必要なので。手前味噌になりますが、みんなの総力戦で仕上がったシーンです」
最初こそ不安そうにしていたという北村だが、いざ撮影に入ると表情が一変。宇佐川は「『大丈夫かな』と言っていたのが照れ隠しだったのかなと思うくらいに、堂々とお芝居してくださいまして。最後には『〇〇を用意してほしい』など提案されたりと、ものすごく積極的に、“ご自身の18歳”の役作りをしていらっしゃいました」と現場の様子を語る。
「あまりにハマっているので、私たちがブロマイドのようにオフショットを撮影すると、北村さんも堂々とポーズを決めてくださって。そこには、本当に18歳の北村さんがいました。心の中では、ノリノリだったんじゃないかと私は思っています(笑)。役柄は超がつく真面目なお父さんですが、北村さんご本人はとても愉快で素敵なお人です!」