ディーン・フジオカ、俳優として、アーティストとして目指す場所 親友との約束への決意も

 監督の塚原あゆ子、脚本家の野木亜紀子、プロデューサーの新井順子のタッグで贈る、『アンナチュラル』(TBS系)、『MIU404』(TBS系)と同じ世界線で物語が展開するシェアード・ユニバース・ムービー『ラストマイル』が大ヒット中。そんな本作において重要な鍵を握る人物が、満島ひかり演じる主人公・舟渡エレナの上司で、ショッピングサイト「DAILY FAST」日本支社の統括本部長・五十嵐道元を演じるディーン・フジオカだ。初タッグとなった塚原や野木、主演の満島とのエピソードや、アーティストとしても活躍する彼が抱く“大きな目標”について語ってもらった。

言葉を失ってしまうほど圧倒された『ラストマイル』

ーー完成した映画をご覧になっていかがでしたか?

ディーン・フジオカ(以下、ディーン):僕自身も興奮するほど面白かったです。いち視聴者の感覚になってしまって、「悔しい」とさえ感じました。

ーー悔しいと思えるほど素晴らしかったと。

ディーン:自分はもちろん俳優として参加しているわけですが、作品を観終わったときに圧倒されて、呆然としてしまったんですよ。よくこんな作品を作れたなと言葉を失ってしまいました。

ーー最初に参加が決まったときからその“予感”はありましたか?

ディーン:もちろんありました。塚原さん、野木さん、新井さんのお三方は、現実に起きている問題に対して取材を重ねて、それをものすごい視座で物語に落とし込んで、毎回高いクオリティの作品を手がけていらっしゃるなと感じていました。以前から「日本でこんなに素晴らしいクリエイターがいるんだ」と思っていたので、今回お声がけいただいて本当に嬉しかったです。『アンナチュラル』と『MIU404』と繋がるシェアード・ユニバース・ムービーというのも、日本では聞いたことのない取り組みだったので、とてもワクワクしました。キャスト一覧を見ると、本当に豪華な方々が集まっていて、本当にすごいことだなと感じます。

ーー最初にオファーがあったときから『アンナチュラル』と『MIU404』と繋がる「シェアード・ユニバース」であることはわかっていたんですか?

ディーン:お話をいただいた時点でなんとなくそういう話はありました。でも、その中からどなたが出るかはまだ知らなくて、知ったのは脚本をいただいてからでした。ただ自分の中で脚本を読んだときの驚きは、『アンナチュラル』『MIU404』からどなたが出るかということよりも、ストーリーそのものにでした。“ネットでポチる”という誰しもが経験していることに、爆弾というものが繋がる面白さですよね。普通の人はそんな話思いつかないなって。

ーー日常と非日常の融合ですよね。

ディーン:しかもその間にいろんなストーリーが組み込まれていくのが、脚本を読んでいても、実際に完成した作品を観てみても、ワクワクドキドキでした。

ーーそんな本作においてディーンさんは、満島ひかりさん演じるエレナの上司で、ショッピングサイト「DAILY FAST」日本支社の統括本部長・五十嵐道元を演じています。

ディーン:道元は物語の要所要所に出てくるんですけど、その“間”はスクリーン上には映らないんです。見えない部分がたくさんあるので、その見えない点をどういうふうに曲線で繋いでいくかは、準備段階でものすごく考えていました。とにかく(満島)ひかりちゃんが演じるエレナにとって、乗り越えられるのかわからない大きな壁のような存在でいたいなと思って演じました。

ーーエレナとのシーン、もしくはお一人のシーンが多かったですよね。

ディーン:そうですね。物語のコアな部分は、エレナと道元の対決ですよね。ひかりちゃんとは、バラエティー番組などでお会いしたことはあったんですけど、お芝居での共演は今回が初めてで。ずっとご一緒したいなと思っていたので、今回は本当に楽しみでした。

ーー実際ご一緒していかがでしたか?

ディーン:ひかりちゃんは今回主演という立場でもあったので、ものすごく忙しそうでしたが、いざお芝居が始まると全集中という感じで、とても刺激的でした。一緒にお芝居をしていても楽しかったです。一つひとつの物語の流れを自分の中で解釈して、どう打ち返していくかを現場で実践していくんですよね。意図的に、作り込まずにエレナを作り上げていく感じがすごく魅力的だなと思いました。

ーー今回の満島さんもそうみたいですが、野木さんは結構当て書きをされる方ですよね。道元に関してはどうだったんですか?

ディーン:ご本人に聞いてみないとわからないんですけど、僕が主演を務めた『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』(2018年/フジテレビ系)を野木さんが観てくださっているというのは以前から耳に挟んでいて。X(旧Twitter)でつぶやいてくださっているのも知っていたので、五十嵐道元というキャラクターをもし当て書きしてくださっていたとしたら、それは本当に役者冥利に尽きますね。作品においても非常に重要な役をいただけて光栄でした。

関連記事