名優たちの共通点? 真田広之、反町隆史、阿部寛ら“教師役”で一世を風靡した俳優たち

阿部寛『ドラゴン桜』(TBS系)

 反町とは違う教師像を演じたのが阿部寛だ。「集英社第3回ノンノボーイフレンド大賞」で優勝し、雑誌のカリスマモデルとして活躍した阿部は、仲間由紀恵と共演したドラマ『TRICK』(2000年/テレビ朝日系)でブレイク。古代ローマ帝国の浴場設計技師であるルシウスを演じた『テルマエ・ロマエ』(2012年)をはじめ、『結婚できない男』(カンテレ・フジテレビ系)や『下町ロケット』(TBS系)など、シリアスからコメディまでジャンルを問わず活躍してきた名優だ。

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 そんな阿部の教師役の代表作が、第2シリーズまで放送され話題となった『ドラゴン桜』である。阿部が演じた桜木建二は暴走族のリーダーという過去を持つ敏腕弁護士で、龍山高校に赴任してからは「東大合格者を5人出す」という目標のもと、東大専科の生徒に受験のノウハウを叩き込んだ。合理主義の持ち主で、東大合格のために不合理なものは徹底的に排除する。阿部演じる桜木は一見するとドライにも見えるが、その言葉の裏側には生徒への愛も持ち合わせた阿部の二面性は多くの生徒を魅了していく。阿部の凛とした佇まいと、内に秘めた熱がまさに桜木にぴったりの役だった。

天海祐希『女王の教室』(日本テレビ系)

 また、天海祐希もそのひとりだ。『離婚弁護士』(フジテレビ系)の間宮貴子、『トップキャスター』(フジテレビ系)の椿木春香、『BOSS』(フジテレビ系)の大澤絵里子など、多くのキャリアウーマン役を演じる一方で、『老後の資金がありません!』(2021年)や『合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~』(カンテレ・フジテレビ系)ではコメディエンヌとしても私たちを楽しませてくれている。キリッとした佇まいでクールな印象がある天海だが、実はお笑い好きな一面もあり、コメディ作品のほうが自然体に近いのかもしれない。

 しかし、『女王の教室』ではクラスを支配する鬼教師・阿久津真矢で一斉を風靡。同作は『GTO』や『さとうきび畑の唄』など数々のヒット作を生み出した脚本家・遊川和彦が、「現代の学校教育にもの申すドラマを作ろう」という思いから制作された。

 「いい加減に目覚めなさい」という天海のセリフは、当時小学生だった筆者の脳裏に今でも焼き付いているほど衝撃的だった。というのも、教師というのは生徒に寄り添うことが仕事だと思っていたからだ。同作の天海には一切笑顔がなく、冷酷な眼差しで生徒に向き合う。恐怖政治とも言える阿久津の教育は生徒からは反感を買うことになるが、次第に阿久津の真意が生徒に伝わっていく。放送当時はかなりの反響があったそうだが、それにも屈することなく、力強い教師像を演じた天海の気概も感じられる作品だ。

 現在も第一線で活躍している真田、反町、阿部、天海。彼らに共通するのは“教師役”が俳優人生におけるターニングポイントになっているということだ。2024年も『ビリオン×スクール』(フジテレビ系)での山田涼介や『素晴らしき哉、先生!』(朝日放送テレビ)の生田絵梨花など、令和の教師像が生まれているが、後に名優への第一歩として語り継がれる日が来るのかもしれない。

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