片岡凜、渡邉美穂、川床明日香、池田朱那 『虎に翼』で活躍した若手女性キャストたち

 NHK連続テレビ小説『虎に翼』が、9月27日に最終回を迎える。女学生から法律を学んで弁護士となり、一旦は法曹界から離れ、再び裁判官として法の仕事に取り組むようになるまで、ヒロイン・寅子を見事に体現してきた伊藤沙莉。

 戦前戦後、寅子をはじめとする女性たちが、社会で活躍することを目指す姿を映し出すと共に、はる(石田ゆり子)や花江(森田望智)のような専業主婦も、家庭を守る主要人物として描くなど、あらゆる人をすくい上げる稀有なドラマとして人気を博してきた。

 寅子や花江、よね(土居志央梨)など、メインキャラクターのほかに、寅子が関わってきた数多くの女性たちを演じたキャストの中から、25歳未満の若手俳優4人をピックアップし、彼女たちが本作でどのような好演を見せたのか振り返ってみたい。

 寅子と優三(仲野太賀)の愛娘・優未は、乳幼児の頃から何人ものキャストが交代して演じてきたが、最後に大人になった優未に扮しているのは、現在22歳の川床明日香。

 寅子が航一(岡田将生)と“家族のようなもの”になった後、ともに星家で暮らしてきた優未は、大学院で寄生虫の研究を行っていたが、断念して中退。このまま続けても、研究の場に自分のポストを確保できない将来が見えた優未は、出世争いのせいで研究を嫌いになりたくないと考え、すっぱりと諦めたのだ。

 子どもの頃は、母に負担をかけないように、“いい子”を演じていた優未は、やがて寅子に何でも話せるようになったものの、大事なことを告げようとする時は、やはり緊張でお腹がギュルギュルしてしまっていた。だが、落ち着いて物事をとらえ、しっかりと自分の意見を言える大人の女性に成長した優未を、寅子は誇りに思い、心配しつつも見守ることに。この先の人生をどうするか考え中の優未は、アルバイトを掛け持ちしたり、花江の料理の手伝いを楽しそうにしたりしている。

 そんな優未を好演している川床は、少女のような純粋さを残した部分と、熱血な側面、お酒や麻雀が好きな遊び心などを持つ優未を秀逸に表現。モデルを経て、俳優になった彼女は、『なつぞらSP 秋の大収穫祭 スピンオフドラマ「十勝男児、愛を叫ぶ!」』(2019年/NHK BSプレミアム)、映画『沈黙のパレード』(2022年)などに出演してきた。2024年は『虎に翼』のほか、『先生さようなら』(日本テレビ)、『約束 〜16年目の真実〜』(読売テレビ・日本テレビ系)などにも出演した川床。今後も瑞々しい演技を見せてくれるだろう。

 香淑(ハ・ヨンス)と汐見(平埜生成)の娘・薫は、大学生になり学生運動に没頭。そんな中、母から朝鮮人であることを告白され、これまで黙っていたことに対して憤る。それは薫にとって、自身のアイデンティティの根底を揺るがす告白であり、隠し通してきた両親に対して不信感を抱くことに。

 「自分の生まれた国が、自分の血が恥ずかしいって思っていたってこと?」と、香淑に問い、「安全な場所に、加害者側に立って今までずっと見て見ぬふりをしてきたってことじゃない」と両親を糾弾する薫。娘を守りたくて事実を隠してきた香淑だったが、薫はこの告白を簡単には受け入れることができず、両親と距離を置いてしまう。

 そんな悩み多き薫を熱演するのは、現在22歳の池田朱那。その後、母が朝鮮人であることを恋人に明かした薫は失恋してしまい、落ち込んでいたが、一転、「良かった、結婚する前にどうしようもない男って分かって」と清々しい笑顔になり、香淑とも和解する。

 出演シーンはそれほど多くはないものの、強い印象をお茶の間に残した池田は、すでにNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』(2019年)と『青天を衝け』(2021年)に出演経験がある。ほかにも、『17歳は止まらない』(2023年)などの映画に主演してきた彼女は、10月8日より放送がスタートするMBS/TBSドラマイズム『その着せ替え人形は恋をする』でも魅力を発揮するに違いない。

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