『笑うマトリョーシカ』清家の“意図”を徹底考察 「ハヌッセンは存在しない」という仮説

「ハヌッセンは存在しない」という仮説 

 そんな2人の支配から目を覚ますきっかけをくれたかに思えた亜里沙も結局は自分を意のままに操ることに快感を覚えており、自身が尊敬していた武智と愛人関係になっただけでなく処分したことを清家は何かのきっかけで3年前に知ってしまったのではないか。そして、鈴木を交通事故に遭わせたのは清家自身なのではないだろうか。亜里沙が書いた脚本『最後に笑うマトリョーシカ』のシナリオに沿って鈴木を処分し、その罪を彼女に着せようとしたのではないだろうか。

 となると、実は清家に「ハヌッセン」など存在せず、清家のブレーンは清家自身なのではないかと思えてくる。敏腕ジャーナリスト・道上香苗(水川あさみ)にブレーンになってほしいという衝撃の打診をしたのは、この真実に彼女が辿り着けるか腕試しをしたいという思いや、彼女だけは誰も気づいてはくれない清家自身の自我を見出してくれると期待したからではないだろうか。もしかすると清家は道上の名前を彼女が書いた過去の記事から把握しており、真実に鋭く切り込む取材記事を読み、彼女だけは他の人とは違い自分を見くびらないと思ったのではないだろうか。会って早々に道上にだけ「これからも僕のことを見ていてくださいね」とささやいたのも、実は誰にも操られてなどいない紛れもない僕自身を見ていてくださいという意だったのかもしれない。

 だとしたら、清家は実権を握り誰にも指示されず、誰の意図も汲まずに政治家を演じながら何を成し遂げようとしているのか。彼の悲願とは一体何なのだろうか。

■放送情報
金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:水川あさみ、玉山鉄二、丸山智己、和田正人、渡辺大、曽田陵介、渡辺いっけい、加藤雅也、筒井真理子、高岡早紀、櫻井翔
原作:早見和真『笑うマトリョーシカ』(文藝春秋)
脚本:いずみ吉紘、神田優
主題歌:由薫「Sunshade」(Polydor Records)
プロデューサー:橋本芙美
演出:岩田和行
編成:杉田彩佳
製作:共同テレビ、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/waraumatryoshka_tbs/
公式X(旧Twitter):@matryoshka_tbs
公式Instagram:waraumatryoshka_tbs
公式TikTok:@waraumatryoshka_tbs

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