櫻井翔、『笑うマトリョーシカ』清家役がなぜここまでハマる? “空っぽの器”になる天才

 清家にもサイコパス味が感じられるが、同じくアイドルという属性を持ちながらこのようなキャラクターを演じるケースは少なくない。映画『怪物の木こり』で主人公の狂気じみたサイコパス弁護士役を演じた亀梨和也は、何があっても動じない鋭い目線や涼やかな存在感が凄惨な殺人とコントラストになり、よりその異様さを際立たせていた。

映画『怪物の木こり』本予告 2023年12月1日(金)公開

 映画『マッチング』でパブリックイメージとは正反対のキャラクターを演じたのは、佐久間大介(Snow Man)だ。金髪で重い前髪から覗く虚げな目線や硬い声質が、社会や人とのつながりの薄さを一瞬にして感じさせる不気味なストーカー役を見事に演じていた。現在放送中の『ブラックペアン シーズン2』(TBS系)をかき回す世界的天才外科医・天城役を演じている二宮和也も、また掴みどころがなく時に容赦ないダークヒーローを好演している。

映画『マッチング』永山吐夢役/佐久間大介クランクアップインタビュー【2024年2月23日(金・祝)公開】

 聴衆を魅了し彼らが「見たいものを見せる」というのもアイドルという生業の一部だと思うが、秀才で社会的地位のあるサイコパスは自身の見え方や演出が上手く人心掌握に長けている側面があるため、アイドル属性の者が演じると大きなギャップが楽しめるとともに、そこにはある種の説得力が宿るのかもしれない。

 本作の清家の奥の奥には何があるのか。彼は浩子の操り人形だけで終わるのか、それともどこかで自我を発揮するのか。清家という容器の中に残っているのは何なのだろうか。

■放送情報
金曜ドラマ『笑うマトリョーシカ』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:水川あさみ、玉山鉄二、丸山智己、和田正人、渡辺大、曽田陵介、渡辺いっけい、加藤雅也、筒井真理子、高岡早紀、櫻井翔
原作:早見和真『笑うマトリョーシカ』(文藝春秋)
脚本:いずみ吉紘、神田優
主題歌:由薫「Sunshade」(Polydor Records)
プロデューサー:橋本芙美
演出:岩田和行
編成:杉田彩佳
製作:共同テレビ、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/waraumatryoshka_tbs/
公式X(旧Twitter):@matryoshka_tbs
公式Instagram:waraumatryoshka_tbs
公式TikTok:@waraumatryoshka_tbs

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