『【推しの子】』のハイレベルな演出に驚き 黒川あかねVS有馬かなを際立たせる“仕込み”
幼い頃のあかねを演じた、石見舞菜香の素晴らしい演技にも注目したい。『【推しの子】』第18話で、あかねを軸にして実に多彩な声色を披露し、観ている人を驚かせた石見。少し低めの凛とした舞台上での声と、幼いあかねの高くかわいらしい声の対比が見事である。鞘姫として見せる演技の幅広さも秀逸であり、石見の演技そのものが、あかねが実力のある役者であることを裏付けていると言っても過言ではない。
東京ブレイド編は、演劇の舞台がテーマなだけに、声優の感情表現もかなり大事になる。これは他のキャラクターも同様であるが、劇中劇という複雑な構造は、演者に二重の役柄を演じることを要求する。
つまり第18話では、同じ話数の中で、現在のあかねのモノローグと幼少期の対比を演じつつ、舞台のパートでは鞘姫も表現しなければならないのだ。この高度な要求に対し、見事に応えた石見の演技に、舞台であかねを観た鮫島アビ子と同じく目を輝かせた視聴者も多いのではないか。第1期でも「あかねの演じるアイ」という形で、二重の演技に対する実力を見せてきた石見だが、第2期でも「黒川あかね」が見せる、その場所ならではの表情を鮮明に描き分けている。
『【推しの子】』で“見つかった”石見舞菜香の躍進 黒川あかねとして放つ演技の凄み
演技者が演技者の役を与えられて、どう演技するかを見られるプレッシャーはいったいどれほどのものだろう。声優の石見舞菜香が『【推しの…
中でも、直前の流れとトーンを一変させた「そんなの駄目だよ」というセリフの演技は秀逸だった。このセリフでは、それまでの流れを断ち切るような鋭い感情の変化が表現され、視聴者に強い衝撃を与えたのではないか。
音の使い方も巧みだ。徐々に音量が上がっていく中で急に音を切るなど、セリフを際立たせるための音の操作も上手い。これらの演出も、登場人物の気持ちや場面の緊張感を効果的に伝える助けになっている。
アニオリとして視覚的に魅せる要素が印象に残る『【推しの子】』第2期。第18話に関しては、“耳で楽しむ”アニオリも充実していた回だったといえるのではないか。
■放送情報
『【推しの子】』
TOKYO MXほかにて、毎週水曜23:00〜放送
ABEMAにて、毎週水曜23:00〜地上波同時・単独最速配信
原作:赤坂アカ、横槍メンゴ(集英社『週刊ヤングジャンプ』連載)
キャスト:大塚剛央(アクア)、伊駒ゆりえ(ルビー)、潘めぐみ(有馬かな)、石見舞菜香(黒川あかね)、大久保瑠美(MEM ちょ)、内山昂輝(姫川大輝)、前田誠二(鳴嶋メルト)、小林裕介(鴨志田朔夜)、佐倉綾音(鮫島アビ子)、伊藤静(吉祥寺頼子)、鈴村健一(雷田澄彰)、小野大輔(GOA)、志村知幸(金田一敏郎)、高橋李依(アイ)
監督:平牧大輔
助監督:猫富ちゃお、仁科くにやす
シリーズ構成:田中仁
キャラクターデザイン:平山寛菜
サブキャラクターデザイン:澤井駿、渡部里美、横山穂乃花
総作画監督:平山寛菜、渡部里美、横山穂乃花、稲手遥香、監物ケビン雄太
アクションアニメーター:あもーじー
メインアニメーター:早川麻美、水野公彰、室賀彩花
美術監督:宇佐美哲也(スタジオイースター)
美術設定:水本浩太(スタジオイースター)
色彩設計:石黒けい
撮影監督:桒野貴文
編集:坪根健太郎
音楽:伊賀拓郎
音響監督:高寺たけし
音響効果:川田清貴
アニメーション制作:動画工房
©赤坂アカ×横槍メンゴ/集英社・【推しの子】製作委員会
公式サイト:https://ichigoproduction.com/
公式X(旧Twitter):@anime_oshinoko