『虎に翼』寅子が航一の“意図”に気づかずスルー 優未「絶対プロポーズだったよ」

 一方、この裁判に裁判官として関わることになった寅子。原告となった5人の原爆による被害状況を読み上げる漆間(井上拓哉)が思わず言葉に詰まってしまうほど、その内容は悲惨だった。終戦から10年が経っても、癒えぬ傷がある。直明(三山凌輝)が結婚後も家族との同居にこだわるのも、戦時中に自分だけが家族と離れて暮らしていたことによる不安や恐怖を忘れられずにいたからだった。

 そんな直明の思いを知らない花江(森田望智)は、相手の女性を気遣うが故に同居には反対している。寅子たちが航一(岡田将生)の家に行った際、優未(毎田暖乃)はそのことを相談した。すると、「なら、僕たち一緒に住みますか?」と思い切って2人に提案した航一。寅子はその意図に気付けずスルーするが、後になって優未から「絶対プロポーズだったよ」と呆れられる。

 母親とは正反対に勘が鋭く、良くも悪くも空気を読むのが得意な優未。百合(余貴美子)、朋一(井上祐貴)、のどか(尾碕真花)が寅子たちを快く受け入れる一方、航一の意外な面を知って黙り込んだ時の微妙な空気感も敏感に察知し、「ニコニコしているけど、みんな目が笑ってない」と鋭い指摘をみせる。鈍感なところもある寅子にとっては、頼もしい存在だ。

 航一の家族も決して不仲ではないが、寅子と優未がいない食卓は静まり返っている。退屈な父親という認識だった航一が寅子と優未の前だけで見せる別の顔を知り、家族は戸惑っている印象を受けた。かたや、寅子との関係について焦っているようにも見える航一は家族の複雑な思いに気づいているのだろうか。今は自分の家族より、寅子や優未の方に意識が向きすぎていることも否めない。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、岡田将生、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、平岩紙、三山凌輝、毎田暖乃、青山凌大、今井悠貴、和田庵、菊池和澄、名村辰、松川尚瑠輝、野添義弘、ドンペイ、滝藤賢一、松山ケンイチ
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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