二宮和也の“一人二役”だからこその仕掛け 『ブラックペアン2』に渡海が登場する可能性は?

 少なくとも原作では、天城のバックグラウンドはほとんど触れられない。ここにドラマとしてのオリジナリティが与えられる可能性は十分に考えられるのである。ちなみに原作において天城と渡海が接点を持つことはまったくない。東城大病院にやってきた天城が、世良をはじめとした他の医師たちが渡海の噂をするたびに「誰のことだ?」と疑問に思う描写が何度か登場するだけである。ただし、『スリジエセンター1991』になると、渡海の薫陶を受けた研修医の速水という“じゃじゃ馬”が登場し、天城よりも存在感を発揮している。現時点でこの速水がドラマに登場するかどうかは定かではないのだが。

 閑話休題。気になるのは、今後のエピソードで天城という人物のバックグラウンドが描かれるとして、“渡海征司郎”の存在はどこまで関わってくるのかということである。“瓜二つ”という設定をあえて加え、序盤から“不在”である渡海の影が作中に浮遊し続けるのであれば、天城と渡海を繋げるなにかがあると考えるのが自然なこと。現に第1話で世良が天城を日本に招こうとする時に、渡海の名前を聞いて表情がぴくっとする一瞬が訪れた。もちろん天城ほどの医師であれば、海外にいても日本の医学会の噂が入ってくるのは当然であり、佐伯外科でオペ室の悪魔と呼ばれた男の名前ぐらいは知っていても不思議ではない。

 またその第1話のラスト(第3話のラストでも同様のシーンが見受けられる)では、一瞬だけ手を繋いだ子どもと思しき手元が、天城の回想のようなかたちでインサートされる。それに加えて第2話のラストで天城は、病院の資料室で過去の医療事故に関する調査報告書を読み耽り、そのなかからファイルをひとつ持ち出しているのが確認できる。仮に両者が“実は生き別れた双子だった”というような古典的な設定があるのならば、シーズン1最終話で佐伯が渡海に語った真相を天城は知らず、かつての渡海のように佐伯への復讐を目論んでいるという線も見えてくる。さらにいえば、“渡海の登場”の可能性もまったくゼロとは言い切れないだろう。

■放送情報
日曜劇場『ブラックペアン シーズン2』
TBS系にて、毎週日曜21:00〜21:54放送
出演:二宮和也、竹内涼真、葵わかな、キム・ムジュン、内村遥、今野浩喜、森田甘路、ヤマダユウスケ、松川尚瑠輝、水谷果穂、チェ・ジウ、田中みな実、石坂浩二、趣里、神野三鈴、橋本さとし、段田安則、小泉孝太郎、内野聖陽
原作:海堂尊『ブレイズメス1990』『スリジエセンター1991』(講談社文庫)
脚本: 槌谷健、守口悠介ほか
演出:西浦正記、加藤亜季子、伊東祥宏
音楽:木村秀彬
主題歌:小田和正「その先にあるもの」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
プロデュース:伊與田英徳、武藤淳、佐久間晃嗣
製作著作:TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/blackpean_tbs/
公式X(旧Twitter):@blackpean_tbs
公式Instagram:blackpean_tbs
公式TikTok:@blackpean_tbs

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