『花咲舞が黙ってない』今田美桜×山本耕史はお似合いのコンビ 半沢直樹が逆転の切り札に

 ドラマ『花咲舞が黙ってない』(日本テレビ系)最終回では、舞(今田美桜)がついに紀本(要潤)へとお言葉を返す。東京第一銀行の執行役員という権力を使って、紀本は粉飾隠蔽に関わるどころか、長年に渡ってインサイダー取引を行い、私腹を肥やしていた。その金の流れる先は、財務大臣の石垣信之介(大和田伸也)の元。「銀行のためだ!」と言い張る紀本に、舞は決して屈せず、黙ってない。

 「小さき者の戦い」というタイトルが示すように、紀本への糾弾は舞や相馬(山本耕史)、昇仙峡(菊地凛子)だけではなく、これまで銀行の犠牲になってきた全ての行員たちの思いも乗っかっている。第10話までの物語の中で、舞が臨店班を通じて、パワハラや差別、理不尽な目に遭っている行員たちに手を差し伸べてきたからこそ、彼女は絶対に諦めない。本作の名セリフとなっている「お言葉を返すようですが」についても、今田美桜はバリエーション豊かに言葉を発してきたが、ラストは怒りのこもった真っ直ぐなニュアンス。今田にとって、銀行の闇、悪事に真正面からぶつかっていく舞としての役が、今回の放送を通してすっかり定着した印象だ。

 相馬との臨店班コンビもお似合いだった。「あ!」という舞の大声リアクションが途中からさりげなく相馬にもうつっていたり、臨店先の高崎支店についてランチを話し合うラストシーンは第1話をセリフオマージュしたもの。第1話ではランチを一緒になろうとする舞に対して相馬が「1人で行くんだよ。絶対ついてくんなよ」と突き放していたが、最終話では高崎のソウルフードを提案する相馬に舞が「全部行っちゃいましょう」と笑顔で返し、相馬も「行っちゃうか、今日は」と乗り気だ。『花咲舞が黙ってない』が再び返ってくるならば、その時も今田美桜と山本耕史のコンビがいい。

 完全な悪役として、高笑いをしながら崩れ去っていった紀本に対して、昇仙峡はかつて復讐心を燃やしていた。昇仙峡の恋人で命を落とした川野(平原テツ)の敵討ち。しかし、舞と出会ったことで昇仙峡は本来の目的を見つけた。それは紀本の不正を暴いた先にある、腐り切った銀行という組織を変えること。4年もの間、憎き紀本の下で感情を殺し、虎視眈々と逆襲のチャンスを狙っていた昇仙峡が、舞と出会い徐々に感情を露わにしていく様子は、まるでもう一人の主人公かのようだった。紀本を糾弾した調査委員会の終了後、「この4年間、あなたの右腕だったことは一瞬たりともありません」と紀本にトドメを刺す昇仙峡。舞への「ありがとう」「お疲れ様」の涙ぐんだ表情、震える声が昇仙峡の思いの強さを物語っている。その後、舞と再会した昇仙峡は前髪を開け、これまでとは違った爽やかな印象。産業中央銀行との合併準備委員会にも選ばれ、新頭取を目指すつもりだと舞に高らかに宣言する。彼女が主人公のスピンオフ作品も観てみたくなった。

 紀本のインサイダー取引の証拠を舞たちに渡したのは、過去に舞が不正を暴いた藤枝(迫田孝也)だったというのは意外だったが、調査委員会の場に出席していた産業中央銀行の半沢直樹(劇団ひとり)も紀本のインサイダー取引について個人的に調査をし、証拠を掴んでいたというのはさらに意外な展開だった。それは、とんでもない不正を隠蔽したまま合併されるのは迷惑だから。半沢は舞に告げる。産業中央銀行も腐っていると。だからこそ、半沢は合併した先の、東京中央銀行の頭取を目指す。昇仙峡と半沢が頭取になろうとする、東京中央銀行の未来は今よりもきっと明るいだろう。

■配信情報
土ドラ9『花咲舞が黙ってない』
TVer、Huluにて配信中
出演:今田美桜、山本耕史、飯尾和樹(ずん)、要潤、菊地凛子、上川隆也ほか
原作:池井戸潤 『花咲舞が黙ってない』(中公文庫/講談社文庫)、『不祥事』(講談社文庫/実業之日本社文庫)
脚本:松田裕子、ひかわかよ
演出:南雲聖一
チーフプロデューサー:田中宏史
プロデューサー:小田玲奈、鈴木香織、能勢荘志
シリーズプロデューサー:加藤正俊
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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