『虎に翼』なぜか憎めない小橋の愛らしさ 余韻を残す名村辰の“絶妙なさじ加減”

 その愛らしさの所以は、やはり名村の芝居のさじ加減が絶妙であることだろう。つぶらな瞳に、発芽玄米ヘア、プリッとした唇がかわいくて、ついつい嫌味も笑って受け流せそうな気になる。言っていることは確かに意地が悪くて嫌味っぽいが、寅子やいろんな人たちの状況を実によく見ているなと感心してしまう側面も。周りの人が嫌いだから攻撃したり遠ざけたりしているというよりは、「構ってもらいたい」というこじれた感情がチラリと見えるところも小橋の良さだろう。名村はこうした嫌味なセリフのオンパレードでも、どこが愛嬌を感じさせる余韻を残して演じているのだ。

 現在は舞台の稽古をしていることを自身のX(旧Twitter)で報告しており、『虎に翼』以外にも、舞台『雨とベンツと国道と私』、『RUN TO YOU』で魅力的な姿を見せてくれそうだ。これだけ印象的な芝居をしてくれていると、つい“発芽玄米”じゃない姿にも興味が湧いてくる。

 そんな、第10週のほっこりポイントを席巻した小橋だが、SNSでは「ああ見えて優しい」「なぜか憎めないキャラ」などの意見が見られる。やはりこのいたずらっ子のような愛嬌は視聴者にも伝わっているようで、小橋を応援する声も散見された。

 第10週のラストには衝撃の出来事も。花岡(岩田剛典)の死を、寅子はどう受け止めるのだろうか。父、兄、夫を亡くし、大切な友人であったよねや轟(戸塚純貴)も消息がわからないまま花岡までも失ってしまった寅子の気持ちを考えただけでも胸が痛くなる。それでも仕事を続けながら、“戻りたくて戻った”法の道を行く寅子の踏ん張りを見届けたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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