『虎に翼』久藤の“胡散臭さ”は沢村一樹の柔らかさあってこそ “隙がある”演技の持ち味

『虎に翼』沢村一樹が胡散臭さを絶妙に表現

 人事課長の堅物・桂場(松山ケンイチ)にも軽口を叩き、鼻を触ってみるなど距離感も近いが、桂場もなんだかんだそれを受け入れている。侮ることなかれ、この久藤は素早い判断力を持ち合わせ、根回し力もバッチリ、結果自分の思い通りに全て事を運んでいるではないか。

 なるほど寅子の大学時代の同級生・小橋(名村辰)曰く、彼は久藤藩藩主になるような出自ながら、戦争前に米国の裁判所を視察しその素晴らしさを訴えていた“アメリカかぶれ”で変わり者だと言う。そんな久藤からすれば一本気で威勢の良い寅子のことが面白くて目が離せなくて仕方がないのだろう。

 そして“殿様判事”などと呼ばれ男性の中でもマイノリティな存在である久藤は、法曹界でいまだ圧倒的マイノリティである寅子の気持ちがどことなくわかるところもあるのかもしれない。

 さて、再出発した寅子に久藤はこれからどう関わってくるのか。ガツガツと手を引っ張り導いたり、背中を押してくれるというよりは、寅子にとって沢山の弾みを与えてくれそうな存在になりそうで楽しみだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
NHK総合にて、4月1日(月)より放送
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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