『虎に翼』大反響の理由を制作統括に聞く 吉田恵里香の凄さと「裁判官編」の見どころも

“魔女5”の再登場も? 女性のキャリア形成を描く「裁判官編」

――第10週以降の見どころを教えてください。

尾崎:第10週からは「裁判官編」として、リーガルエンターテインメントをベースに、寅子の新たなスタートを描いていきます。裁判官への道を歩み始めた寅子が、新しく登場する法曹界の面々と対峙しながら、法律の仕事と向き合っていく姿が見どころになってくるかと思います。

――新しいスタートということで、これまでと変わっている部分と変わらない部分についてお伺いしたいです。

尾崎:物語の始まりから様々なテーマを描いていますが、その中でも「女性がどういうふうにキャリアを描いていくか」という部分に関しては10週以降より深められていくのではないかと思います。変化する点でいえば、ビジュアル面ですかね。学生時代は寅子たち女子部の面々が色とりどりの袴を着用していましたが、寅子の職場では基本的に全員スーツなので、キリッとフォーマルな感じになります。

――後半のキーパーソンとなる人物を挙げるとしたら誰でしょう?

尾崎:まずは滝藤賢一さん演じる多岐川幸四郎と、沢村一樹さん演じる久藤頼安という2人の裁判官が華々しく登場します。他にも寅子の同僚として岡田将生さん演じる星航一が登場したりと、また新たな出会いが次々と訪れますが、法曹の世界は男社会、その中で寅子が孤軍奮闘し、やりがいを見つけていくので、引き続き見守っていただければと思います。

――第9週で猪爪家の男性陣がごっそり退場となりますが、彼らが担ってきたユーモアの部分を受け継ぐキャラクターは?

尾崎:それで言うと、先ほど挙げた沢村さん演じる久藤と滝藤さん演じる多岐川ですかね。彼らは仕事に対してすごく誠実なんですが、キャラクターとしてはコメディチックかもしれません。久藤はジェントルマン過ぎるところがありますし、多岐川もモチーフにしている方にいろいろと面白いエピソードがあり、エキセントリックに見えてしまうキャラクターだったりします。主にその2人が寅子を振り回す役どころで、伊藤さんの素晴らしい受けのお芝居にも注目していただければ。これからも寅子が向き合う世界はどんどん変わっていくんですけど、ベースのタッチは変わらなくて、クスッと笑えるような部分はずっとあると思います。

直明役・三山凌輝起用の理由

――第9週から成長した直明役で三山凌輝さんが登場となりました。改めて三山さんの起用理由を教えてください。

尾崎:三山さんには以前、吉田さんが手がけた特集ドラマ『生理のおじさんとその娘』(NHK総合)にご出演していただきました。私も企画に携わっていたのですが、その時のお芝居がとても良かったので、両方の演出に加わっている演出の橋本(万葉)とも話した上で大人になった直明の役をお願いすることになりました。

――アーティストとして三山さんはパワフルなイメージがあったんですが、直明を演じていらっしゃる時はすごく柔らかい印象を受けました。その辺りの役づくりは三山さんと演出の皆さんで調整しながらいっていったのでしょうか?

尾崎:直明はこれまで3人の子役たちが演じていたのですが、最初に彼がどういうふうに成長してきたかを三山さんに説明させていただきました。あとは直明のまっすぐで誠実なキャラクターをしっかり表現していきたいので、その辺りの方向性は適宜確認しながら撮影を行っています。

――猪爪家に途中からの参加となりますが、現場での雰囲気はいかがですか?

尾崎:やはり現場にはお芝居の先輩方が集っているので、最初はすごく緊張されていたんですが、今ではリラックスしていて、猪爪家の家族として自然に馴染んでいます。花江の息子たちを演じる子役の2人といつもわいわい楽しそうに喋っていますね。伊藤さんや石田ゆり子さん、森田望智さんら大人キャストの皆さんとも変に気負わずお話しつつも、役者としていろんなことを吸収しようとされている印象を受けます。

――先日、平岩紙さん演じる梅子の姑・大庭常役で鷲尾真知子さんの出演が発表されましたが、梅子をはじめ、前半で退場してしまった女子部法科の仲間たちの再登場も期待しても?

尾崎:本作は構想の時点から、「寅子の物語」というよりは寅子を含めた「女性たちの物語」であることを意識して作っているので、女子部法科の仲間たちも寅子と一緒に人生を重ねていきます。細かい部分はまだ申し上げることができませんが、その人生が再び交錯するところも描くつもりでいるので、そこはぜひ期待していただきたいです

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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