岡田惠和が『南くんの恋人』を描き直す“意義” 現代的な“アイドル論”を絡めた作品に?

 岡田惠和が脚本を手がける7月期のテレビ朝日系火曜ドラマ『南くんが恋人!?』が放送されることが発表された。原作は、内田春菊による漫画『南くんの恋人』。岡田は、1994年放送の高橋由美子&武田真治版でも脚本を手がけており、30年ぶりに同じ作品を手がけることになる。2024年版となる本作では飯沼愛が主演を務め、FANTASTICSの八木勇征と共演を果たす。

『南くんの恋人』が“男女逆転バージョン”で映像化 飯沼愛&八木勇征が恋人役で初共演

飯沼愛が7月期のテレビ朝日系火曜ドラマ『南くんが恋人!?』で主演を務めることが決定した。  1987年に刊行された内田春菊の漫…

 『南くんの恋人』を初の“男女逆転バージョン”で実写ドラマ化する『南くんが恋人!?』。“男女逆転”の設定がもたらす新たなストーリー展開に期待が高まる中、ドラマ評論家の成馬零一氏は、「性別が逆転したことによって、女性が男性を性的に消費するという現代的なアイドル論も絡んでくるのではないかと」と語る。

「『南くんの恋人』は実は今回で5回目の実写ドラマ化になります。1990年には石田ひかりさんと工藤正貴さん、1994年には、高橋由美子さんと武田真治さんで制作され、おそらく1994年版が一番有名ではないかと思います。2004年には深田恭子さんと二宮和也さん、そして2015年に『南くんの恋人~my little lover』のタイトルで山本舞香さんと中川大志さんでドラマ化されています。その時代の旬の俳優コンビで贈る、“ファンタジーテイストの若者向けラブコメの変化球枠”として放送されてきた印象です」

 多くの若者に支持されてきたテレビドラマ版だが、内田春菊による原作コミック『南くんの恋人』は、掲載誌の性質上エロティックな描写が多く、ホラーな側面も多かったと成馬氏は続ける。

「『南くんの恋人』を連載していた頃の内田春菊さんは、女性の内面描写と性描写が高く評価されている漫画家でした。中でも『南くんの恋人』は、水木しげるさんや蛭子能収さんが連載していた『ガロ』で連載されていた作品で、終わり方がショッキングだったこともあってかカルト的な人気を集めた漫画でしたが、その時代ごとの旬の若手アイドル俳優が主演を務めるテレビドラマとして放送されることで、大衆向けのポップな作品として受け入れられるようになっていったという印象です。原作コミックでは、ヒロインの堀切ちよみが生理になる描写も描かれてて、小さくなった女の子と同世代の男の子がいっしょに暮らしていたら最終的にどうなってしまうのか、という描写に関しては怖いほど生々しく描かれていました。1994年版のドラマでは武田真治が南くんを演じていたためカッコいい男の子でしたが、漫画の南くんはもっさりとした外見の冴えない男で、思春期の少年ならではの性欲もリアルに描かれていた。ですので、現代の原作至上主義とは違う自由な実写化で、だからこそ時代の変化に合わせて何度も映像化されてきたのだと思います」

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