『9ボーダー』齋藤潤&高橋克実の登場で大庭家が団結 ラスト10秒は“転落”の前兆?

『9ボーダー』ラスト10秒は“転落”の前兆?

 さらに、コウタロウが渡した少年の免許証から、衝撃の事実が判明する。少年の名前につく数字から会話が徐々に広がっていく中で、彼が3姉妹の弟であることが明らかになった。“品川”は母親の旧姓だったのだ。しかし、打ち解けようとする五郎に対しても、彼は「今さら家族ヅラすんな」と冷たく言い放ち、部屋を飛び出してしまう。3姉妹にとっても、弟の存在はまさに青天の霹靂だった。五郎は、どう話せばいいのかわからず、連絡もできなかったと弁明するが、あまりにも身勝手な父親の態度に、家族の心は徐々に離れていく。

 ここまで一貫して、恋愛や仕事についてそれぞれの悩みがありつつも、家族はいつも仲が良く、居場所として存在していたからこそ、この展開はなかなかに心にくるものがある。

 三姉妹にはそれぞれの思いがあった。19歳、29歳、39歳だからこそ、家族に対する視点も違う。幼い自分を置いて出て行った母親に対する八海の複雑な感情、仲が悪い両親を嫌悪して距離を置いていた六月。七苗も、母親から「おばあちゃんのところに行くけど一緒に来るか」と誘われた時、母親を引き留めなかったことを後悔していた。

 そんな中、八海が20歳の誕生日を迎える。あつ子(YOU)もケーキを作るなど、みんな気合い十分で準備を進めていたが、家族の間には絶妙な距離感とわだかまりが残っていた。その重苦しい雰囲気を察した五郎が、重い口を開く。

「お母さんが出て行ったのは、俺のせいだ。俺がどうしようもなかったからだ。この通り、すまなかった」

 五郎の真摯な謝罪に、3姉妹は言葉を失う。普段は頑固で自分の意見を押し通すことが多い父親が、頭を下げる姿に、五郎なりに家族のことを思い、悩んでいたのだと気づかされる。さらに「みんな元気でありますように」という母親の口癖が、彼女が離れた場所からも自分たちのことを思っていてくれたことに気づき、涙を流す3姉妹。弟も含めて、母親との思い出を共有した大庭家は、それぞれの思いを胸に、団欒のひとときを過ごすのだった。

 大成功のうちに幕を閉じたように見えた八海の誕生日パーティー。しかしラスト10秒、その印象は少し変わる。八海が撮影したコウタロウの動画が、なぜかSNSで次々に拡散されていったからだ。八海が通知に気づいていないことから、その真意は誰にもわからないまま、動画は多くの人々の目に触れることになるだろう。今は平穏な大庭家だが、この出来事が暗い影を落とす前兆だったとしたら……。幸せの絶頂にある今、八海の動画が大庭家の運命を変えてしまわないよう、ただただ祈るばかりだ。

■放送情報
金曜ドラマ『9ボーダー』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:川口春奈、木南晴夏、畑芽育、井之脇海、木戸大聖、山中聡、伊藤俊介(オズワルド)、内田慈、岩谷健司、箭内夢菜、奥村佳恵、矢崎広、兵頭功海、YOU、松下洸平
脚本:金子ありさ
プロデュース:新井順子
協力プロデュース:阿部愛沙美
演出:ふくだももこ、坂上卓哉
音楽:jizue
主題歌:SEKAI NO OWARI「Romantic」(ユニバーサル ミュージック)
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/9border_tbs/
公式X(旧Twitter):@9border_tbs
公式Instagram:9border_tbs
公式TikTok:@9border_tbs

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