『あぶない刑事』はなぜ愛され続ける作品となったのか “永遠にカッコいい”タカ&ユージ

“最強のバディ”と呼ぶのにふさわしいタカとユージ

『あぶない刑事』©セントラル・アーツ

 『あぶない刑事』の魅力は、タカとユージの名コンビぶりに尽きる。そう断言しても誰も異論は唱えないだろう。

 クールで正義感が強く、銃と女性の扱いに慣れているタカと、身のこなしも会話も軽いが、理知的な一面も持つユージ。お互いをよく理解し合っていて、息もぴったりの2人は、まさしく“最強のバディ”と呼ぶのにふさわしい。近年のバディものを愛好している視聴者が初めて『あぶない刑事』を体験したら、とろけてしまうのではないだろうか。

 息が合っているから行動もスピーディーだ。『あぶない刑事』第2話「救出」では、生意気な容疑者に向かって揃ってサングラスをかけて不敵な笑みを浮かべたかと思えば、次のシーンでは射撃場で銃を撃ちまくって容疑者を震え上がらせる。無茶苦茶だが、2人はお互いにいちいち行動を説明したり、相手を咎めたりしないのである。

 どちらかが窮地に陥れば、全力で救出に向かう。本物のバディを目の当たりにすると、“信頼”とか“絆”とかという言葉すら物足りない。2人は命を分け合っている間柄だと言ってもいい。『あぶない刑事』第14話「死闘」では銃撃戦で瀕死の重傷を負ったユージをタカが必死になって救出する。第33話「生還」ではシャブ漬けにされたタカを助けるため、ユージは刑事の職分を放棄して犯人と取引しようとしていた。

『あぶない刑事』©セントラル・アーツ

 とはいえ、やっぱり軽口は欠かさない。第20話「奪還」では2人で絶体絶命のピンチに陥るが、そんなときでも映画『明日に向って撃て!』を思い出しながら、お互いを「ポール鷹山」「ロバート大下」と呼び合っていた。さっきまで緊迫していたのに、急に冗談を言い合うような緩急が、『あぶない刑事』の独特のテンポを生み出している。

 軽口といえば、2人のアドリブの多さも『あぶない刑事』の魅力のひとつだ。脚本はだいたいの方向性だけで、2人がアドリブを言う余白が残してあったのだという。楽屋落ちも多く、ユージがいきなり舘ひろしのヒット曲「泣かないで」を歌う場面もあった(『あぶない刑事』第31話「不覚」)。

『あぶない刑事』©セントラル・アーツ

 タカとユージがずっと軽佻浮薄だったわけじゃない。タカは銀星会に憎しみを燃やしているし、ユージだって困った人は見捨ててはおけない男だ。バブル真っ盛りの時代に大人気を博したので、“トレンディドラマ感覚の刑事ドラマ”と言われることもあるが、それだけではないハードボイルドさ、熱さがあるのも『あぶない刑事』の魅力である。

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