『366日』広瀬アリスと長濱ねるが見せた美しい友情 奇跡的に目覚めた遥斗には“異変”が

 期待しなければ、傷つくこともない。そう思い、端から色んなことを諦めてきた明日香には莉子の言葉が刺さった。だけど、遥斗のことは諦めず、今でも奇跡を信じている。そんな明日香の気持ちも莉子にはわからない。「あなたにはわからない、なんて言い合ったって意味がない」という明日香の言葉は正論だ。莉子も頭ではわかっているが、傷ついている今、それを素直に聞き入れるのは難しかった。

 28歳の明日香たちはいわば、人生の過渡期に立っている。夢を追い続けるか、諦めて現実的な道を探すか。今の仕事を続けるのか、転職するのか。結婚するのか、しないのか。子供を産むのか、産まないのか。他にもたくさんの選択を迫られ、元気そうに見えても、みんな何かしらの悩みを抱えている。そんな中で今まで仲が良かった人と価値観が合わなくなったり、相手が自分より幸せそうに見えて妬ましく思えたりして、だんだん疎遠になっていくことも。

 いずれ、また道が交わる時が来る。そう信じて一旦離れるのが結果的に良いこともあるが、絶対にその時が来るとは言い切れない。それこそ、和樹(綱啓永)が遥斗に謝るタイミングを見失ってしまったように。その和樹が見舞いにきたタイミングで、遥斗の発作が起き、明日香はいつ何が起きるかわからないことを実感する。主治医の池沢(和久井映見)にも「だからこそ今日を悔いがないように生きないとね」と言われ、莉子に「ずっと友達でいたい」と伝えた。莉子も明日香に謝罪。亘と別れてから溜まっていた感情を吐き出し、二人は無事に仲直りする。大人になってから、こうしてぶつかっても仲直りして一緒にいたいと思える相手がいるというのは貴重なことだ。

 明日香は、高校時代に莉子と友情の証を刻んだスケッチブックを眺めていると、そこに遥斗の文字で「いつもパワーもらってる」と書いてあるのを見つける。音大を卒業していることが条件だと言われ、音楽講師になる夢を諦めてしまった明日香は、そんな人間が音楽をやる資格はないと思っていた。だが、明日香が野球を頑張る姿に励まされていたように、遥斗もまた音楽室から聞こえてくる明日香のクラリネットの音色にいつも励まされていた。私たちも自分の知らないところで、誰かの心を動かしているのかもしれない。そう思うだけで、なんだか力が湧いてくる。

 後日、明日香は自分の気持ちとともに押入れにしまっていたクラリネットを取り出し、久しぶりに音を奏でる。その音色が届いたのか、遥斗は目を覚ますが、病室に駆けつけた明日香のことを覚えていなかった。次々と試練が襲いかかる明日香と遥斗の恋はどこに着地するのか。宮辺紗衣(夏子)という遥斗と過去に何らかの関わりがありそうな看護師の存在も気になるところだ。

■放送情報
『366日』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:広瀬アリス、眞栄田郷敦、長濱ねる、坂東龍汰、綱啓永、夏子、中沢元紀、中田青渚、清乃あさ姫、前田公輝ほか
演出:平川雄一朗
脚本:清水友佳子
プロデュース:狩野雄太
主題歌:HY「366日」
制作協力:AOI Pro.
制作・著作:フジテレビ
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