『虎に翼』花岡と轟の“二転三転”した人物像 2人から学ぶ“新たな価値観”を知る大切さ

 NHK連続テレビ小説『虎に翼』第4週「屈み女に反り男?」が放送された。晴れて明律大学法学部に進学した寅子(伊藤沙莉)たちは、男子学生と共に授業を受けることに。そこで出会ったのが、花岡悟(岩田剛典)と轟太一(戸塚純貴)だ。第4週は5日間をかけて一見正反対に見える2人を丁寧に描き上げた。今回はその花岡と轟の魅力について紐解いていきたい。

 岩田剛典演じる花岡は、寅子たちが本科にやってきたときに真っ先に親切に接してくれた人物だ。男子学生たちの中でも中心的存在である上に、寅子たちを女性として下に見ることなく、「男女平等の世を切り開いている」と勉学への姿勢を評価した。花岡がこうした態度をとることで、クラスは一丸となって寅子たちを受け入れることに。そんな中で戸塚純貴が演じる轟だけが古い価値観を突きつけてきた。「男が前に立ち国を築き、女は家庭を守る」と語る轟の第一印象は、まさに旧態依然な“嫌なやつ”。しかし第4週がユニークなところは、このような人物像が5日間をかけて二転三転することで、より奥深い人間味を見せてくれたということだ。

 
 寅子たちに友好的な態度をとってきた花岡は、大変モテる男でもあった。それゆえに告白してくる女性を冷たくあしらう一面も。さらに男子学生だけで話しているときは、男性特有のノリで女性を「優しくすると調子にのる」などと言ったりもする。いつの時代もこうした“男のノリ”があるのは事実であり、梅子(平岩紙)が話すように「怒ったところで何も変わらない」のかもしれない。それにもかかわらず、このシーンは世の視聴者を性別に限らず “モヤっ”とさせた。

 男性からすると、こうした虚勢を張ったことがある自分への虚しさ。女性からしたら、裏切られたような複雑な感情を思い起こすきっかけになったかもしれない。そんな花岡の情けない威勢の張りっぷりに一石を投じたのが轟だ。女性蔑視的なところがあるキャラクターかと思われた轟こそが、実は誠実でまっすぐな人物。裏表のある花岡にピシャリ、「誠意がない態度はいただけない」と言ってのけたのだ。

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