『虎に翼』岩田剛典が伊藤沙莉に恋の剛速球? “漢”轟が悟ったマッチョイズムの正体

 しかし、「俺が漢らしさと思っていたものは、そもそも男とは無縁のもの」と轟は悟った。性別が男であることと、強さや優しさは必ずしも結びつかない。当たり前のことに轟は気付いただけだが、男は強くあらねばならないという思い込みがそれを妨げていた。その思い込みを作り出すのは社会であり、家父長制の下で男性には責任と裏返しに特権が与えられた。寅子が花岡と言い争いになったのは、女性を尊重するようで、その実、女性を見下す男性の傲慢さに腹が立ったからである。

 梅子に謝ることで、花岡は自身の弱さを認めることができた。家父長制を内面化した花岡の自分のことが嫌いだったという独白は、男性中心の社会で男性自身も苦しんでいることを示している。

 寅子と二人きりになった花岡。「せめて私の前では本当の花岡さんでいてほしい」と寅子に言われて、それならと「本当に腹が立つ」と声に出した花岡は、一瞬、本気で女性を見下しているかと思ったが、本心は違った。突然の告白に寅子が戸惑うのも無理はない。ぱっと見は怒っているふうで「君のことばかり考えてしまう」と剛速球を投げつけられ、絵に描いたような少女漫画ヒロインの心境変化を示す寅子。猪爪家の一大事でさらに畳みかけ、物語は絶賛加速中である。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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