『愛の不時着』『海街チャチャチャ』『恋人』 韓国ドラマの心に響く“愛の告白”シーン6選

『ドクタースランプ』

『ドクタースランプ』(JTBC公式サイトより)

「これでも恋人はいない?」

  誰にでも訪れる可能性のある、人生のスランプの乗り越え方を描いた物語。高校時代にライバルだった男女が互いのスランプ期に再会し、心の支えになっていく過程を映し出していく本作。「一足飛びに幸せになろう!」とメッセージを送るのではなく、その手前にある“不幸や苦しさに向き合う強さ”があれば生きていけるのだと視聴者に語りかけてくれる。

 成績優秀で最大のライバルだったヨ・ジョンウ(パク・ヒョンシク)とナム・ハヌル(パク・シネ)。そんな二人が、一つ屋根の下で暮らしながら愛を育んでいくのだが、とあるシーンでハヌルが職場の同僚から恋人がいるか聞かれる場面がある。「今はいない」と答えるハヌルに対して、問いかけるジョンウのセリフが、「これでも恋人はいない?」という一言。“これでも”に込められたジョンウのハヌルに対する深い愛と、優しさと強引さを掛け合わせた告白×キスシーンが名場面すぎて、もうキュンキュンが止まらなくなる。

『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』

『ボラ!デボラ~恋にはいつでも本気~』(ENA公式サイトより)

「告白の後のドラマみたいな展開は?」

 人気恋愛コーチと、彼女の黒歴史を目撃してしまった編集者の本気の恋の終わらせ方を描く物語。思い出すには苦すぎる失恋あるあるを詰め込んだような韓国ドラマで、もう恋は当分しない!と思ったときこそ観たくなる一作。「愛は空気。ないと死ぬのに目に見えない」など名セリフも多く、癒しと笑いをしっかり詰め込んだ本作は、視聴者を身体の芯までポカポカにしてくれる。

 これほどにも全力で視聴者が応援してしまう告白はあっただろうか。出版社勤務のイ・スヒョク(ユン・ヒョンミン)が、恋愛コーチのヨン・ボラ(ユ・インナ)に惹かれていくのだが……ボラの言葉を借りるならば、この男、本当に分かりにくいのだ。直球で好きだとは言えず、“ドラマみたいな展開”を期待するボラに対して、韓国ドラマ『相続者たち』の名セリフを引用し、「もしかして俺は君が好きか?」と問いかけてしまう場面も。そんな彼が、不器用ながらも愛を叫び、「君が何をしても嫌いになれない。告白の後のドラマみたいな展開は?」とボラに伝える。あなたが何をしても好きだという裏返しの告白は、直接的ではないスヒョクらしさが全力で溢れ出ていると思う。

『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』

『恋人~あの日聞いた花の咲く音~』©2023MBC

「ちょっと...…あれだ」

 永遠の愛を信じない男性と、真の愛を知らない女性を描いた時代劇。苦労を知らず、周囲から愛されて生きてきた主人公が、極限状態の中で生き抜こうと顔つきが変わっていく。そして、運命のように出会った男女が、何度もすれ違い、互いを突き放しながらも惹かれ合い続ける姿は、一瞬たりとも目が離せなくなる。激動の渦に呑み込まれそうになりながらも、心で相手を想い続ける二人の姿が印象的で、没入感と余韻が半端ない一作。2023MBC演技大賞では8冠を受賞し、今年の百想芸術大賞にもノミネートされた注目作だ。

 飄々として掴みどころがなく、永遠の愛を信じず気ままに生きる謎の男イ・ジャンヒョン(ナム・グンミン)。そんな彼が、世間知らずのお嬢様ユ・ギルチェ(アン・ウンジン)と出会い心惹かれていくなかで、感情を伝える一言がある。それが、「ちょっと…...あれだ」なのだ。「愛してる」「好きだ!」という言葉ではなく、含みを持たせたこの一言。この言葉にとてつもなく深い意味が詰まっており、ぜひ本編でセリフの意味を味わっていただきたい。2023MBC演技大賞でのナム・グンミンの受賞スピーチでもこのセリフが使われるほど、本作を代表するセリフの一つだったと思う。

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