A24製作のディストピア映画『Civil War』北米2連覇 『劇場版 SPY×FAMILY』は第5位で発進

A24製作『Civil War』北米2連覇

 第5位には、日本から『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』が初登場。2009館で480万ドルを記録し、現地では「日本製アニメの勝利が続く」とも語られている。北米配給を担当したクランチロールとしては、『ONE PIECE FILM RED』(2022年)の1276万ドルに次いで歴代5位となった。しかしながら事前のプロモーションを含め、スケールのやや小さい劇場公開となった印象は否めない。

『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』©2023「劇場版 SPY×FAMILY」製作委員会 ©遠藤達哉/集英社

 ランキングを概観すると、『デューン 砂の惑星PART2』、『ゴジラxコング 新たなる帝国』、『Kung Fu Panda 4(原題)』などの大ヒット層や、興行成績1億ドル規模の『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』と、これら以外の層のギャップが広がっていることがわかる。『Civil War』のような中規模の作品はレアで、今週公開された3作品や、大手スタジオ製作の『Monkey Man(原題)』、『オーメン:ザ・ファースト』も興行収入の狙いと実績は決して大きくないのだ。

 以前より記してきたように、現在は映画業界全体が不安定であるがゆえ、スタジオ各社が「リスクを抑えて小さく稼ぐ」劇場興行や、早期の配信リリースで確実な利益につなげる戦略にシフトしつつある。つまりは大作・話題作でないかぎり大きな賭けには出ず、ポテンシャルのある作品は口コミでヒットを狙う(あるいは配信でたくさん観てもらう)作戦だ。しかしこの傾向が続くほど、映画興行の縮小は避けられず、洋画の日本公開のハードルも上がってゆくだろう。

 『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』があった2023年に比べると、年間興行収入は前年比80%程度。ライアン・ゴズリング&エミリー・ブラント主演のアクションコメディ『フォール・ガイ』が北米公開される5月3日からはサマーシーズンが始まるが、今年は果たしてどうなるか……。

北米映画興行ランキング(4月19日〜4月21日)

1.『Civil War(原題)』(→前週1位)
1112万ドル(-56.4%)/3929館(+91館)/累計4488万ドル/2週/A24

2.『Abigail(原題)』(初登場)
1020万ドル/3384館/累計1020万ドル/1週/ユニバーサル

3.『ゴジラxコング 新たなる帝国』(↓前週2位)
945万ドル(-39.2%)/3658館(-189館)/累計1億7161万ドル/4週/ワーナー

4.『The Ministry of Ungentlemanly Warfare(原題)』(初登場)
900万ドル/2845館/累計900万ドル/1週/ライオンズゲート

5.『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』(初登場)
487万ドル/2009館/累計487万ドル/1週/クランチロール

6.『Kung Fu Panda 4(原題)』(↓前週4位)
460万ドル(-16.9%)/2955館(-149館)/累計1億7998万ドル/7週/ユニバーサル

7.『ゴーストバスターズ/フローズン・サマー』(↓前週3位)
440万ドル(-23.6%)/3109館(-241館)/累計1億291万ドル/5週/ソニー

8.『デューン 砂の惑星PART2』(↓前週5位)
290万ドル(-33.1%)/2014館(-387館)/累計2億7659万ドル/8週/ワーナー

9.『Monkey Man(原題)』(↓前週6位)
220万ドル(-46.2%)/2641館(-396館)/累計2167万ドル/3週/ユニバーサル

10.『オーメン:ザ・ファースト』(↓前週7位)
170万ドル(-55.3%)/2430館(-945館)/累計1776万ドル/3週/20世紀スタジオ

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2024年4月22日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照

https://www.boxofficemojo.com/weekend/2024W16/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/civil-war-box-office-drawing-blood-abigail-1235878317/
https://variety.com/2024/film/box-office/box-office-a24s-civil-war-wins-weekend-again-1235977592/
https://deadline.com/2024/04/box-office-abigail-civil-war-ministry-of-ungentlemanly-warfare-1235890123/
https://deadline.com/2024/04/godzilla-x-kong-dune-japan-china-global-international-box-office-1235891070/

■公開情報
『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』
全国公開中
原作・監修・キャラクター原案:遠藤達哉(集英社『少年ジャンプ+』連載)
出演:江口拓也、種﨑敦美、早見沙織、松田健一郎ほか
監督:片桐崇
脚本:大河内一楼
キャラクターデザイン:嶋田和晃
サブキャラクターデザイン:石田可奈
総作画監督:浅野恭司
音楽プロデュース:(K)NoW_NAME
音響監督:はたしょう二
アニメーションアドバイザー:古橋一浩
制作:WIT STUDIO×CloverWorks
配給:東宝
製作:「劇場版 SPY×FAMILY」製作委員会
©2023「劇場版 SPY×FAMILY」製作委員会 ©遠藤達哉/集英社

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