篠田麻里子、『離婚しない男』の“大胆演技”で得たもの 悪女役で今後もオファー殺到!?

 脚本家・鈴木おさむの引退前最後の地上波連続ドラマ作品で、伊藤淳史が主演を務め、小池徹平、佐藤大樹らが共演している『離婚しない男―サレ夫と悪嫁の騙し愛―』(テレビ朝日系)がついに最終回を迎える。

 この作品で大きな話題となったのが、渉(伊藤淳史)の悩みの種で、マサト(小池徹平)との不倫に溺れていく渉の妻・綾香を演じた篠田麻里子の演技だろう。綾香を誰が演じるかは長らくベールに包まれており、第1話の放送で突如明らかになった。

 しかも、篠田の姿に驚く間もなく展開されたのは、綾香とマサトの濃厚なキスシーン。さらに綾香は、鈴の付いた首輪をマサトにつけられ、渉のいるマンションの隣室で妖艶に絡み合う。声を出せばすぐ隣に響いてしまいそうななか、首元の鈴をマサトから鳴らされ、その音にさえ反応してしまい、声が漏れてしまう綾香。気づかれてしまうかもというスリルさえ興奮材料になっているのかずっと恍惚の表情で、綾香はマサトからのセクシャルなリクエストに応え続けるのだった。このような体を張った艶やかなシーンが過激さを増しながら、毎回登場するのだ。そしてそれを篠田は見事に演じ切っていた。

 本作における綾香は、世間一般的に見れば、夫や娘を裏切ってマサトと浮気をするひどい女性だ。しかし実は、自分の気持ちに素直な人間でもある。女としての魅力が存分にあるナオミ(藤原紀香)が渉の前に現れると不快感を露わにしたし、ナオミの家で彼女と“いいムード”になっている渉に対しても、ベットの下で隠れながら苦虫を潰したような顔をしていた。自分は、同じ場所がマサトの家だった時に、ソファーの上で渉とナオミ以上にいやらしいことをしていたのに、だ。

 綾香は渉に対しての愛情は薄くはなっているが、「こんな男、くれてやる」というような投げやりな気持ちはなく、いざ渉が自分から離れそうになってしまうことがわかると、手放したくないと思ってしまっているようなのだ。この自分のことを棚に上げつつ、その時の気持ちがすぐに顔に出てしまう様子がとても人間らしいといえる。単なるラブストーリーやヒューマンドラマではない、本作だからこそ出てくる生々しくも複雑な人の感情がそこにはある。どうしても妖艶なシーンだけがフォーカスされてしまうが、篠田はそんな表現しにくい感情をも体当たりで演じているのである。

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