『ピアノ 2 Pianos 4 Hands』に誰もが夢中になる! 世界を魅了したミュージカルを映画館で

「ミュージカル」を映画館で鑑賞するからこその醍醐味

『ピアノ 2 Pianos 4 Hands』予告編

 前述したようなピアノの経験のある人だけでなく、多くの人が子どものころには、大人たちの矛盾した言動に悩まされたことがあるだろう。彼らの親は「遊んでないでピアノの練習をしろ」と言ったかと思えば、「ピアノばかり弾いていないで、外で友達と遊べ」と言ってきたりする。大人はまったく不可解だ。さらにピアノ教師たちはクセモノ揃いで、ある教師が言ったことに対して、別の教師はまったく違うことを言い、さらに少年たちを混乱させる。それでもピアノの魅力に取り憑かれていった彼らは、コンクールでしのぎを削るまでに成長していく。しかしそこには、越えられない壁も存在していた。それこそが本作の核心となるもので、物悲しく、大人になった2人の哀愁を感じさせる。

 「突然歌い出す違和感に耐えられないから、ミュージカルは苦手」という人もいるが、本作で突然始まるのは歌ではなく、ピアノ演奏だ。ストーリーからスムーズに流れていくピアノの旋律は、クラシックになじみのない人でも、どこかで聞いたことがあるような有名曲の数々から、ジャズやポップスのピアノアレンジなど、音楽も聞いていて楽しい。また、ピアノ演奏のほうが突然歌いだされるよりも、違和感が少ないように感じる。音楽とそれに合わせた会話やストーリーのテンポの良さで、観客は、気づけば舞台の世界にのめり込んでいく。

 また、「ライブビューイング」ならではの、映画館での鑑賞ならではの魅力もある。それは、劇場で舞台を観るときには見えないところも見えるということだ。つまり、キャストの表情のアップや舞台のディテールまで見えるということ。特に今回の『ピアノ』では、鍵盤の真上からのショットが多用され、彼らがピアノを弾いている、その指使いを見ることができる。これがまた圧巻で、思わず見入ってしまうこと間違いなしだ。

 既存の「ミュージカル」の枠に囚われない自由な発想で、必要最低限のキャストや衣装、セットを使い、豊かな世界を描き出す『ピアノ 2 Pianos 4 Hands』。一方でこのミニマルなセットや演出は、映像作品ではできない、舞台ならではのものだ。そんな世界で大人気を博したミュージカルを、ぜひ映画館で楽しんでほしい。普段の映画とは一味違う体験が、あなたを待っている。

■公開情報
『ピアノ 2 Pianos 4 Hands』
3月22日(金)より全国順次限定公開
企画・主演・演出(監督):テッド・ダイクストラ、リチャード・グリーンブラッド

【楽曲一覧】
第1幕
チェンバロ協奏曲 第1番 ニ短調 第1楽章:J・S・バッハ
ソナチネ第6番 ヘ長調:ベートーヴェン
ピアノ・ソナタ 第16番 ハ長調 第1楽章:モーツァルト
4手のピアノ・ソナタ ニ長調 第1楽章:モーツァルト
ペール・ギュント 第1組曲「山の魔王の宮殿にて」:エドヴァルド・グリーグ
チェンバロ協奏曲 第1番 ニ短調 第1楽章:J・S・バッハ
第2幕
前奏曲 第15番「雨だれ」 変ニ長調:ショパン
スペイン組曲 第1集 アストゥリアス(伝説):イサーク・アルベニス
2台のピアノのためのロンド ハ長調:ショパン
幻想小曲集 作品12:シューマン
ピアノ・ソナタ 第8番「悲愴」 ハ短調 第1楽章、第2楽章:ベートーヴェン
バラード第2番 ヘ長調:ショパン
メフィスト・ワルツ第1番:フランツ・リスト
ポップス・メドレー     
即興曲集 D935より 第2番 変イ長調:シューベルト
ピアノ・マン:ビリー・ジョエル
チェンバロ協奏曲 第1番 ニ短調 第1楽章:J・S・バッハ

配給:松竹
©BroadwayHD/松竹©Rick O'Brien©2 Pianos 4 Hands
公式サイト:https://broadwaycinema.jp/

関連記事