『グレイトギフト』真犯人を考察 小野花梨の圧倒的な演技力が発揮される予感

 ドラマ『グレイトギフト』(テレビ朝日系)の最終回が3月14日に放送される。

 その最大の焦点となるのは、真犯人は誰かということ。国立生命理工学研究所(生命研)の2年前の名簿に妻・麻帆(明日海りお)の名前を見つけ、藤巻(反町隆史)は彼女が真犯人ではないかと疑うところでセミファイナル(第8話)は幕を閉じた。麻帆は治験の看護師として生命研に働いていた過去があるようだが、あくまでも看護師であり、殺人球菌「ギフト」の培養はおろか扱うことすらままならないだろう。それに彼女は重い心臓の病気を患っており、明鏡医科大学付属病院に入院していた事実、それに心拍数が高くなるリスクを追ってまで殺人を行っていたとは到底考えづらい。

 それでは真犯人とは一体誰なのか。その最有力として考えられるのが、検査技師の奈良茉莉(小野花梨)である。第8話では、白鳥(佐々木蔵之介)から球菌の培養を依頼され、藤巻と久留米(波瑠)がレシピが複雑だと言っていた「ギフト」の培養を奈良はいとも簡単に成功させてしまった。本坊(筒井道隆)は細胞培養士の資格を持っている奈良を適任に人材だと判断し連れてきたようだが、「割とちゃっちゃとできちゃいましたけど」という奈良の飄々とした態度に白鳥や郡司(津田健次郎)も呆気に取られている。白鳥は奈良に成功報酬に加えて、系列病院はもちろん、研究施設への異動も推薦すると持ちかけるが、「うーん。でも、ここの職場が好きなので大丈夫です」とあっさり断ってもいた。打算的な一面もある奈良にしては、少々引っ掛かりを覚える部分であり、明鏡から離れたくない理由があるようにも捉えられる。

 真犯人は久留米が生命研を辞めたあとに、密かに保存されていた「オクトセブン」を改良した人物。愛宕(山田明郷)元総理にはあえて、久留米が発見した初期型の「オクトセブン」を使い、久留米を挑発し、自分が「オクトセブン」の創造者だと名乗っては、改良型「オクトセブン」で自分の優位性を見せつけた。久留米は犯人を「至極稚拙な感情で人を殺す、危険な人間だ」と推察もしている。第1話から奈良は久留米のことを「先輩」と慕っていることを強くアピールしているが、もしもそれが明鏡だけでなく、生命研としての先輩としても当てはまるとしたら。当初は創造者へのリスペクトを抱いていた奈良だったが、自分の方が検査技師として優れているという、歪んだライバル心が膨らんでいき、今回の「ギフト」を使った連続殺人へと発展していってしまったのではないか。

 久留米は殺人を止めるため、真犯人に対抗するようにして、「ギフト」の特効薬となるカウンター球菌を開発した。真犯人は稚拙でプライドの高い人間だと想定し、藤巻は仕掛けられていた盗聴器を使って、逆に真犯人を挑発。そこから真犯人は白鳥に非通知と機械音声で接触を試みてきた。「私と手を組みませんか? コピーできない改良型オクトセブン、グレイトギフトを差し上げましょう。藤巻と久留米を殺してほしい」と。白鳥が「ギフト」を失ったことは、ラボを出入りできた奈良であればを把握できることであり、何より真犯人の姿を見た白鳥が呆気に取られているということが、彼が予想だにしていなかった人物=奈良であることを物語っているように見えてくる。

関連記事