『薬屋のひとりごと』と『プリキュア』の深い縁 猫猫は“優秀過ぎる”ヒロインに

まるでおとぎ話のプリンセス? 身近にいる「王子さま」

 制作陣とキャストから一転、物語の構造の観点から見ると猫猫はほぼプリンセスである。

 アニメ2クール目にして壬氏が“ただの宦官でない”と明らかになりつつあることを踏まえると、猫猫もただの下女とはもはや言えない存在。壬氏の正体を考慮すれば、猫猫はおとぎ話の主役のような非常にレアな立場にいるのだ。

 しかも面白いのは、猫猫がまだ壬氏の正体に気づいていない点。宦官だと思っているためか猫猫は壬氏に対して性的な面でも何かと不注意な言動が多く、それが壬氏の心を揺るがす要因となっているのは間違いないだろう。

 なお、毒と薬が好きな一介の下女であった猫猫の身の上についても、徐々に新たな事実が露わにされていく。意外に箱入り娘……かもしれず、やがて猫猫と壬氏はお互いの関係についてさまざまな障壁を感じることになるだろう。

 2人の生い立ちについてはまだ明らかにされていない部分が多いものの、猫猫がプリンセスに近い立場にあるために、本作の恋愛作品としての魅力が増しているのは明らかだ。マンガで本作を楽しんでいる筆者からすれば、壬氏の正体について猫猫が勘繰り始めるのが待ち遠しくてたまらない。

 放送開始から3カ月以上が経ってもなお、視聴者の心をつかんで離さない『薬屋のひとりごと』。その人気の背景には、猫猫のヒロインとしての才覚と実力がたしかに隠されている。

■放送情報
『薬屋のひとりごと』
日本テレビ系にて、毎週土曜24:55〜放送
各種配信プラットフォームにて、放送終了後順次配信
キャスト:悠木碧、大塚剛央、小西克幸、種﨑敦美、石川由依、木野日菜、甲斐田裕子、潘めぐみ、小清水亜美、七海ひろき、斉藤貴美子、家中宏、赤羽根健治、久野美咲、かぬか光明
ナレーション:島本須美
原作:日向夏(ヒーロー文庫/イマジカインフォス刊)
キャラクター原案:しのとうこ
監督・シリーズ構成:長沼範裕
副監督:筆坂明規
キャラクターデザイン:中谷友紀子
色彩設計:相田美里
美術監督:髙尾克己
CGIディレクター:永井有
撮影監督:石黒瑠美
編集:今井大介
音響監督:はたしょう二
音楽:神前暁、Kevin Penkin、桶狭間ありさ
アニメーション制作:TOHO animation STUDIO、OLM
製作:「薬屋のひとりごと」製作委員会
©日向夏・イマジカインフォス/「薬屋のひとりごと」製作委員会
公式サイト:kusuriyanohitorigoto.jp
公式X(旧Twitter):@kusuriya_PR

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