ドラマを鑑賞しながら中国語を学習 「みるアジア」独自の字幕機能を現役大学生が体験
動画配信サイト各社がしのぎを削る中、中国ドラマや韓国ドラマファンの間でひそかに「こんな機能がほしかった」「かゆいところに手が届く」と話題のサイト「みるアジア」。日本未公開の新作や名作ドラマの配信、日本語と原語の字幕も入れるようにした「二か国語字幕」や「まるわかり字幕」など、他サイトにはない機能が搭載されている。
そんな「みるアジア」独自の機能は実際にどうなのか。現役で中国語を学ぶ大学生の仲小桃乃、中国ドラマやアニメ作品に魅了され、翻訳機などを利用して原作小説など中国語書籍も楽しんでいる角田優花、ライター・字幕翻訳者として活躍する新田理恵の3人に、実際にサービスを体験してもらい、みるアジア担当者を交えて語り合ってもらった。
「楽しみながら勉強できると思いました」
――中国語と日本語、二か国語字幕を使って中国ドラマ『鎮魂』の第1話を観ていただきました。視聴した感想を教えてください。
仲小桃乃(以下、仲):ありがたい機能ですね。中国語は日本語と語順が違うので、リスニングする時に耳が慣れていなくて混乱しがちになることが多く感じています。日本語と一緒に中国語字幕が出せたら、楽しみながら勉強できると思いました。意味は知っているけど使い方がよく分からない単語も、「こういう時に使うんだ」と分かりやすくていいですね。
――字幕検索機能というのもあり、日本語でも中国語でも、単語を入力すると、その言葉を話しているシーンに飛べるようにもなっているんです。
角田優花(以下、角田)&仲:すごい。
みるアジア担当者:語学学習に使っていただけたらいいなと考えて、弊社の完全オリジナルの機能として搭載しました。たとえば、あるセリフを打つと、このセリフの場面に飛ぶので探しやすいと思います。
角田:「このセリフをもう一度聞きたい」という時があるので、すごくいいですね。調べようとしても、なかなかそのシーンを探すのが大変なんです。
新田理恵(以下、新田):1つの言葉でも、場面によって違う使われ方をしているケースがあるので、並べて観られると、勉強にも役立ちますね。
仲:中国語を聞き取ろうと思っても、ドラマのセリフは教材と比べてすごく速いので、知っている単語しか聞き取れないことが多いです。でも、中国語字幕も一緒に出せれば、それをなぞって聞けるのでいいですね。
角田:私は学校などでしっかりとした中国語を勉強したことはないのですが、さっき『鎮魂』を観た時に、中国語字幕のほうを追っている自分に気づきました。普段は日本語字幕だけを目で追っているけど、ドラマの楽しみ方も広がりそうだなと感じました。
新田:よく「外国語を学ぶにはドラマや映画を観るといい」と言われますが、私は実際、あまり効果を実感したことがなかったんです。というのも、日本語字幕の場合、相当意識しないと、観ているうちにドラマ自体に夢中になってしまう。逆に日本語字幕を消して原語だけで観る場合、一時停止しながら観たりしていると、つまらなくなって視聴が進まない。でも、二か国語字幕のように両方同時に出されると、言ってることが分かるので、とても勉強はしやすいと思います。結局、知らない単語は何度聞いても分からないんですよ。ただ、字幕翻訳をする立場から言うと、原語と見比べられるのは非常に怖いです(笑)。
――字幕翻訳というお仕事は原文の意味をそのまま訳しているわけではないんですよね?
新田:だいたい1秒4文字という字数制限があるので、字数以内でその場面のセリフの内容を日本語で伝えやすく、表現し直す作業になるんです。なので直訳ではありません。ときどき担当作品の評判をSNSなどでチェックをすると、「原文と違う。間違ってる」と書かれていて、胸が痛みます(笑)。原文と日本語字幕の表現の違いが気になる方は、みるアジアさんで提供されている「まるわかり字幕」が役立つと思います。
角田:「まるわかり字幕」を少し拝見したのですが、感情移入しやすいと感じました。
みるアジア担当者:この機能はもともと、DVD特典に付けていた機能なんです。長いセリフや、直訳すると日本人には聞き馴染みのない言葉などは、字幕翻訳者の方が分かりやすく意訳してくださるのですが、「まるわかり字幕」は字数制限をなくして、原語にできるだけ忠実に再現している。作品自体はもう何度も観ているというファンの方向けの機能です。
新田:『鎮魂』の第1話も、通常の字幕はやむを得ず簡潔に訳されているのですが、「まるわかり字幕」のほうでは、主役の2人の微妙な関係性がより細かく分かるんですよ。
みるアジア担当者:「みるアジア」の公式noteに、まるわかり字幕の翻訳をしてくださった方が裏話を寄稿してくださっているので、読んでいただけるとさらに視聴する時の楽しさが増すと思います。
字幕検索機能を語学学習に使うには……?
角田:中国制作の作品は、“心に響く一文”みたいなセリフが多いと感じます。字幕検索機能を使えば、そういうセリフを繰り返し楽しめそうですね。
新田:セリフを全てテキストで見られるって、本来は脚本を入手しないと無理じゃないですか。それができるってお得感がありますね。お2人はほかに、どんなふうに学習に生かせると感じましたか?
仲:意味は似ているけど、違う単語の使いどころを調べるのに使えそう。『鎮魂』の第1話に出てきた「胆小鬼」(臆病者)という単語も、言葉自体は知っていましたが、「こんな状況で使うんだ」と分かりました。映像で見ると分かりやすいですね。
新田:たとえば中国語をテキストで勉強していて、「この単語、実生活ではどう使われているんだろう?」と思った時に、検索をかけてみるという使い方もできそう。
仲:中国語は方向補語(動詞の後につき、人や物が移動する方向を表す補語)がすごく大事じゃないですか。「起来」(起きる)とか「進去」(入る)とか。それぞれの使い方が映像だと分かりやすいですね。
新田:中国語学習者らしい視点ですね! 感覚的、視覚的に覚えないと分からないところですよね。
――角田さんは独学で中国語を学んでいるということですが、勉強の強い味方になりそうですか?
角田:絶対に使いたいなと思いました。今も話題に出たように、似ている意味の言葉が結構あるので、どういう場面で使うのが正しいのか、使い分けを調べる時に、字幕検索機能は便利だと思います。