『トッケビ』死神役から『九尾狐伝』狐役まで 多彩なキャラクターで魅了するイ・ドンウク

 こうして高い注目と人気を獲得したイ・ドンウクは、2012年にトークバラエティ番組『強心臓』で初の司会を務め、SBS演芸大賞新人MC賞を受賞し、キャリアの幅を広めることに成功。以降も、韓国芸能人がシェアハウスで共同生活する様子を届けるリアリティ番組『ルームメイト』では、『恋はチーズ・イン・ザ・トラップ』などのソ・ガンジュンらとともに来日し大阪で珍道中する姿を見せ、オーディション番組『PRODUCE X 101』の国民プロデューサー代表に就任するなどマルチな才能を発揮し、折々でジャンルレスな活躍ぶりを見せている。

 本業では、2013年にドラマ『天命』で時代劇に初挑戦。宮廷で陰謀に立ち向かっていく病気の娘を育てる天才医師役を熱演。2016年には、アジアにシンドロームを巻き起こしたドラマ『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』で死神役を演じ、主演のコン・ユ演じるキム・シン/トッケビとのコミカルな掛け合いとスタイリッシュなコンビによる映像美とのギャップが絶妙なブロマンスを披露して、ブレイク。イ・ドンウクの代表作のひとつとなった。

『真心が届く ~僕とスターのオフィス・ラブ!?~』(写真:Everett Collection/アフロ)

 近年では、『トッケビ』で恋に落ちながら現世では結ばれない役を演じていたユ・インナと『真心が届く ~僕とスターのオフィス・ラブ!?~』で2019年に再共演。不器用な敏腕弁護士役を務めたイ・ドンウクと落ち目の女優役を演じたユ・インナが、現世で結ばれたことに歓喜するファンも多かったようだ。同年、『イカゲーム2』の追加キャストとして発表されているイム・シワンと共演したサイコスリラー『他人は地獄だ』で、これまでのロマンス作品で見せる姿とは異なる、笑顔さえも不気味に見えるエキセントリックな歯科医役を演じ、新境地を開拓したイ・ドンウク。

 2020年には、ファンタジーロマンス『九尾狐<クミホ>伝~不滅の愛~』で九尾狐のイ・ヨン役を演じ、『この恋は不可抗力』のチョ・ボアと運命の恋を展開。好評だったため同作は今年続編の『九尾狐伝1938』も今年公開されたが、前作とはまったく異なる時代設定にした点が賛否両論となった。2021年には、アクションコメディ『バッド・アンド・クレイジー』で、出世のためにはなんでもする野心家ながら憎めない警部役を演じ、『最悪の悪』でも華麗なアクションを見せていたウィ・ハジュンと共演。スピード感あふれるアクションシーンや、ウィ・ハジュンとのバディぶりでも観る者をグッと惹きつけたイ・ドンウク。さらに同時期に公開された映画『ハッピーニューイヤー』では、ホテルのCEO役を演じ、優美な眼差しと佇まい、ハートウォーミングなストーリーで魅了した。

『ハッピーニューイヤー』©︎2021 CJ ENM CORP., HIVE MEDIA CORP. ALL RIGHTS RESERVED

 振り返ると、甘いマスクはもちろんのこと、年々成熟した大人のセクシーさも漂わせるようになったイ・ドンウク。死神や九尾狐といった個性的な役からさまざまなキャラクターまで多様な顔を見せるイ・ドンウクだが、人間ではない役や御曹司のようなスマートな役のほうが魅力がさらに伝わりやすいような印象も。今後は、『キングダム』などのキム・ヘジュンと共演するドラマ『ア・ショップ・オブ・キラーズ(原題)』が2024年にディズニープラス「スター」で独占配信されることが発表されている。冷静沈着でミステリアスなチョン・ジンマン役を演じるということで、どのような世界を届けてくれるのだろうか。イ・ドンウクの新しい挑戦を楽しみに待ちたい。

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