『セクシー田中さん』は“生きる理由”を教えてくれる メイクアップした木南晴夏の美しさも

 そんな悦子が突然上京してきた理由は、初めての彼女なりの意思表示で夫への反発だったのだろう。自分に病気が見つかり“もしも”のことを考えたら今まで家族第一優先にやってきて「やりたいことが何一つできていない」ということに気がつき、病院への再検査に行く代わりに思わず衝動的に東京に向かっていたようだ。

 あの夫と一緒に過ごし続け、自分の願望も「くだらん」の一言で却下され続けると、どうしたって、「私なんか……」「どうせ……」という思考が身に染み付いてしまうのだろう。デパートで美しい瑠璃色のスカーフを見つけるも、恐れ多くて触ることさえできない悦子のあまりに自分のことを後回しにする自己犠牲の姿勢が切ない。

 そんな悦子の姿に、田中さんは自分と似通っているところを見出したのだろう。映画を観るにも選択肢が多すぎてどの作品がいいか決められない悦子に、作品から連想する色味を伝え色で選んでもらえるようにとハードルを一気に下げる。そして朱里が話していた「一つ一つは些細だけど、集めたら生きる理由になる」という言葉も添えて贈る。朱里のメイクによってさらに魅力を増した田中さんが、自身の経験を交えて悦子の心を動かしていく姿はとても美しかった。

 悦子が書いていた「死ぬまでにやりたい事」リストに列挙されていた「孫の顔が見たい」を叶えるために、お見合いを受けることを一人静かに決めた笙野。確実に悦子と一緒にキッチンを囲む田中さんの姿から、結婚生活をイメージしていたに違いない笙野だが、母親の「田中さんはちょっと歳上すぎる」という発言を気にしているのか。あるいは、田中さんのことがあまりに大切な存在になりすぎていて、自分のわがままや自分だけのライフプランに巻き込むことに気が引けてしまうのだろうか。

 朱里と小西はあまりに自然で朱里も“小西と一緒にいる自分”が心地よく感じられていそうだ。一方、田中さんを巡る笙野と三好(安田顕)の三角関係はどう展開するのだろうか。

■放送情報
日曜ドラマ『セクシー田中さん』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:木南晴夏、生見愛瑠、毎熊克哉、川村壱馬(THE RAMPAGE)、前田公輝、高橋メアリージュン、生駒里奈、なえなの、円井わん、坂ノ上茜、水沢エレナ、星乃夢奈、平野沙羅、西田麻耶、安田顕
原作:芦原妃名子『セクシー田中さん』(小学館『姉系プチコミック』連載中)
脚本:相沢友子
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:大井章生、田上リサ(AX-ON)
演出:猪股隆一、伊藤彰記(AX-ON)
音楽:日向萌
主題歌:「ドレスコード(Prod. imase)」LE SSERAFIM(ユニバーサルミュージック)
©︎芦原妃名子/小学館/NTV
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