『プレイ・プリ』は“叶わなかった夢”を供養する 傷つくことを恐れて進めない人のために
本作では、“憧れなのか、恋なのか”この境界線を行き来しては思い悩み浮き沈みする甘酸っぱさもあり、心が温かくなるようなシーンも満載だ。ジェットコースターのようなスリルな恋ではなく、穏やかに近づいていく距離感は何ともかわいらしく、観ていて心地がよい。大きな見どころの1つは、音楽によって重なり合っていくシーンの数々。歌声に込められた2人の関係性にも注目すると、より深く感情移入できるだろう。
最終的に2人が前に進めたのは、一歩踏み出す勇気だ。それは夢をかなえるための一歩だけではない。自分の声に耳を傾ける一歩、自分をさらけ出す一歩、好きな人と距離を縮める一歩、家族と向き合う一歩……。小さな積み重ねではあるけれど、何もしなければ何も起こらない。踏み出すことは案外大したことないもので、傷つくことを恐れるあまり、忘れてしまっていたことなのかもしれない。
私たちが感じる息苦しさは自然に消えないだろう。けれどドグクみたいにわがままに生きてみて、ハンジュみたいに自分に正直になってみてもいい。もっと大胆になってもいいのだ。“肩の力を緩めていい、一人で抱えこむ必要ない”と、2人が夢を奏でるメロディーが、明日は少しだけ自分に正直に生きてみようと背中をそっと押してくれる。
■配信情報
Huluオリジナル『プレイ・プリ』
Huluにて独占配信中(全8話)
出演:キム・ヒャンギ、シン・ヒョンスン、ヨンオ、カン・ソンヨン、ヤン・ドングン
製作:ヘリー・アン、イ・ミナ、ユン・ヒョンギ
演出:キム・ジョンチャン
脚本:パク・ユンソン
原作:2F(イエフ)『プレイリスト』(LINEマンガにて配信中)
©HJ Holdings, Inc
公式サイト:hulu.jp/static/playplii
公式X(旧Twitter):@playpliiHulu