『ブギウギ』笠置シヅ子の心情が詰まった幻の「大空の弟」 スズ子の心境とも重なる楽曲に

「どんな気持ちで死んでいったんやろ。怖かったやろなぁ。寂しかったやろなぁ。かわいそうやったなぁ」

 スズ子(趣里)の悲痛な叫びに胸が締め付けられた。

 「ブギの女王」として一世を風靡した歌手・笠置シヅ子さんの生涯をモデルにしたNHK連続テレビ小説『ブギウギ』。最愛の弟・六郎(黒崎煌代)の戦死の知らせを受け、うまく歌えなくなったスズ子に羽鳥(草彅剛)が「これなら歌えるんじゃないか」と新しい楽譜を渡す。

 それが、第10週のタイトルとなっている「大空の弟」だ。師弟関係にあった服部良一さんが「村雨まさを」というペンネームで作詞・作曲を手がけ、笠置さんが歌った数少ない軍歌の1つである。

 驚くことに、同曲の楽譜が発見されたのはたった4年前のこと。笠置さんの半生を描いた舞台「『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』~ハイヒールとつけまつげ〜」の制作過程で、服部家の所蔵庫から発見された。曲名自体は残っており、笠置さんの自伝『歌う自画像 私のブギウギ傳記』(北斗出版社)の中にも「仏印の大空に散華した弟八郎の英霊に捧げた」曲として記載されているが、音源はおろか具体的な内容を示す資料などはそれまで見つかっていなかったそうだ。

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