木南晴夏×生見愛瑠『セクシー田中さん』が“信頼できる”理由 弱い自分の先にあるもの

 その“若さによるチヤホヤ”は、「自分のことを適度にバカだと思っているから」と思っているからこそ需要があるうちに“安定した足場”を求めるべく、“リスクヘッジ”のために合コン三昧の日々を送っていたかつての朱里。合コンで出会って簡単になびく女性陣も、自分から商社マンという肩書きを取り除けば、途端に小中の頃の反応になるだろうことも踏まえた上で、その虚しさを極力直視せずこの“敗者復活戦”をどこまで満喫できるかというゲームにすり替えてきたものの、それにも飽きつつある小西。そして、自身の現状に満足できていないからこそ、実はずっと寄せられていた朱里からのピュアな想いを受け取ることができなかった進吾。みんなどこか不自由で満たされない思いを抱えながらもその直接的な原因は見て見ぬ振りをし、“イタくならないように”自分のことを騙し騙しやり過ごしていたのだ。

 それが“自分が自分であることに胸を張れるように”と真っ直ぐ一生懸命な田中さん(木南晴夏)に出会ってから、朱里は自分の中の違和感を見過ごすのをやめた。そして田中さんに感化されリズム感ゼロなのにベリーダンスに体当たりで取り組む朱里の姿は、進吾の背中を押した。

 同じく、頑ななまでに相手のことをラベリングし分かった気になって安心していた笙野(毎熊克哉)が、田中さんと出会ってから実は自分の目こそ節穴だったことを自覚しどんどん素直に柔和になっていく、その変化感に小西は少しの焦りと同時に希望も感じているのだろう。本当はマウントとってプライドへし折ってやろうと思っていた進吾相手に自分が感じている虚しさについて話し、器用にやり過ごす以外の向き合い方を模索しているかのようにも見えた。

 人間臭くってダメダメなところもあるんだけれど、だからこそ魅力的で未完成な男性陣の痛みや傷も無視されずに描かれる本作は、改めて本当に信頼できる。

■放送情報
日曜ドラマ『セクシー田中さん』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30〜放送
出演:木南晴夏、生見愛瑠、毎熊克哉、川村壱馬(THE RAMPAGE)、前田公輝、高橋メアリージュン、生駒里奈、なえなの、円井わん、坂ノ上茜、水沢エレナ、星乃夢奈、平野沙羅、西田麻耶、安田顕
原作:芦原妃名子『セクシー田中さん』(小学館『姉系プチコミック』連載中)
脚本:相沢友子
チーフプロデューサー:三上絵里子
プロデューサー:大井章生、田上リサ(AX-ON)
演出:猪股隆一、伊藤彰記(AX-ON)
音楽:日向萌
主題歌:「ドレスコード(Prod. imase)」LE SSERAFIM(ユニバーサルミュージック)
©︎芦原妃名子/小学館/NTV
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