『ONE DAY』「逃亡編」の鍵握る松本若菜と中村アン 謎にリンクする行動から目が離せない

 現在放送中の『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)にて、大きな謎のひとつだったのが、「記憶を失った誠司(二宮和也)は何者なのか」ということである。

 これまで誠司は詳しいことを知っているのは蜜谷(江口洋介)だと踏んで接触を図ってきた。結論から言えばその予想は正しく、第8話では蜜谷から誠司へ“真実”が語られた。具体的に言えば、誠司の本当の名前が天樹勇太であること、職業は警察官で、蜜谷の命により国際犯罪組織「アネモネ」を壊滅させるため、潜入捜査をしていること、である。次なる展開に進んでいく、誠司を中心とした「逃亡編」。ここで、これから注目していきたいキャラクターが2人いる。松本若菜演じるカレンと中村アン演じる柚杏だ。

 カレンは神奈川県警・刑事部捜査一課の主任警部補。女性初の捜査一課長の座を狙っており、当初は誠司が関わる事件の捜査や誠司の追跡に前のめりと言っていいほど積極的だった。しかし、捜査に警視庁所属の蜜谷が関わってくる異様さを不思議に思っていたところ、誠司を追いかけていた時に偶然本人に助けられたことがきっかけで、「本当に誠司が事件の犯人なのか?」と考えるように。その疑念を蜜谷に見抜かれ、「1度足を突っ込めば戻れない危険な仕事」と忠告されたが、カレンは「アネモネ」と内通する警察側の人間を探すことに決めた。

 ここで何も考えずに上に従い、誠司を逮捕することが出来れば誰もが認める大きな成果となり、カレンのキャリアアップは確実だ。でも彼女は、それをせず、自分の心の中にある引っかかりについて、一旦立ち止まって考え、バレたら大目玉を食らうだけではすまされないようなことに挑もうとしている。「横浜テレビ」編では、桔梗(中谷美紀)が危険を顧みず、ミズキ(中川大志)の後を追って捕まってしまった査子(福本莉子)のことを叱りながらも、その報道マンとしての姿勢をほめていた。状況は違うが、カレンにも出世とは別に、真実を追い求める警察官としての矜恃のようなものがあったのだろう。数々の謎の中に、こうして登場人物の人間味が感じられる場面が多くあるのが本作の特徴で、心惹かれるところでもある。松本はカレンの誠実でありながら生真面目すぎて、他人からはやや不器用に見えてしまう様子を細やかに演じている。

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