『マイハル』視聴者のハートを射抜く道枝駿佑の“トゥンク”言動 歳の差カップルの新たな壁
「佐弥子さん、俺の彼女になってよ。俺の彼女になって! “ハイ”は?」
「くぁ〜、なんだこのカワイイ生き物は!?」と思わず声が出てしまいそうになった。これまでも各話のラスト数分で、何度も視聴者のハートを射抜いてきた道枝駿佑が演じる拓の“トゥンク”言動。それが佐弥子(広瀬アリス)と両想いになるやいなや、その頻度は数分に1度というくらい大盤振る舞いされるではないか。そのハッピーオーラに、ニヤニヤが止められない。
物語の折り返しとも言える『マイ・セカンド・アオハル』(TBS系/以下『マイハル』)第6話。ようやく結ばれることになった2人の、なんて幸せそうなことか。最初こそ恥ずかしくて避けるような行動をしてしまった拓だが、晴れて彼女と彼氏になったことで、カップルらしい空気に包まれていく。「いつから好きになったの?」「秘密〜!」なんてくすぐったい会話が、どちらかが寝落ちするまで続く長電話。まだ慣れない雰囲気で繋がれる手と手。友だちのころよりも、もう一歩踏み込んでお互いのことを知る会話も増えていく。
そんな嬉しい変化があれば、乗り越えなければならない新たな壁も出てくるもの。まだまだ夢半ばの2人。10代、20代の恋ならば、お互いの可能性を信じて没入することもできるかもしれない。だが、32歳の佐弥子にとって、この大学生生活は現実を生き直すための場所。どうしても将来の不安が頭をよぎる。新居を探すときに拓の口からポロッと「(家賃は)自分で払うわけじゃないから」と出た言葉もついつい気になってしまう。不動産業者が2人のことを恋人ではなく、姉と弟と勘違いしたことに、すぐ腹を立ててしまうところも、やはり社会人としての経験値の差を感じる。22歳と32歳で好き同士になったとしても、その先に結婚はあるのかとふと考えてしまうのだった。
それでも、佐弥子にとって拓が尊敬するパートナーになりうるのは、建築家としてのセンスと才能に恵まれているから。だが、その魅力的な部分も恋人関係という距離になると、急に眩しすぎて目がくらんでしまう瞬間も。同じ道を志しているからこそ、そして隣を歩きたいと願うからこそ、抱かずにはいられない劣等感。それは、もしかしたら拓が父親に抱くそれと近いものがあるのかもしれない。とはいえ、その劣等感をバネにして拓はアグレッシブに行動を始める。海外にまで足を運び、自分の活動の幅を広げていく。一方で、どんなに頭を捻っても平凡なアイデアしか浮かばない自分に直面する佐弥子。
建築家として活かせる良さとは何か……。そんなときに、有名建築家・真保誠(石丸幹二)が佐弥子のバイト先に現れる。そして佐弥子が手掛けたリノベーション物件を見て、ゼロから新しいものを生み出すよりも、すでにあるものの良さを見つめて再生させる能力があると背中を押される。それは、これまでなんとか大学生活に食らいついてきた佐弥子にとって、初めてしっかりと実力を認めてもらえたご褒美のような出来事だった。その喜びを真っ先に伝えたいのは、もちろん最愛の拓。だが、拓は真保の名前を聞くなり不機嫌に。「正直、向こうはテキトーに言っただけだと思うけど」なんて言われて、佐弥子もカッとなって出ていってしまう。