『ブギウギ』六郎の“甘えたがり”にツヤの“醜い”お願いも 本心を受け止める家族の愛情

 『ブギウギ』(NHK総合)第38話では、東京のスズ子(趣里)のもとに入隊直前の六郎(黒崎煌代)が訪ねてきた。スズ子は六郎からツヤ(水川あさみ)の病状があまり良くないことを聞かされる。

 第38話では六郎もツヤも、明かさずにいた自分の本心を、大切な人の前でひっそりと打ち明ける。

 姉やんの部屋ではしゃぐ六郎の無邪気さは愛おしいが、彼がこれから出征するのだと思うと胸が苦しくなる。ツヤの前でも、スズ子の前でも明るい顔を見せる六郎だが、「ワイかて不安やねんで」と呟くと、死ぬかもしれないことへの怖れを吐露した。心配そうに見つめるスズ子をよそに六郎が死について考え込んでしまう姿、そして六郎を演じる黒崎の台詞の言い回しから、六郎が毎晩襲い来る死への不安に耐え続けていることが確かに感じられた。「そっち行ってええか?」と聞く六郎に、スズ子は優しく「おいで」と言う。六郎は勢いよく姉やんに抱きつくと、「ワイ、死にとうないわ」と泣いていた。大きく成長した六郎だが、穏やかで優しく、甘えたがりなところは変わっていない。そんな六郎が、自分の本心を打ち明け、スズ子にぎゅっとしがみついてすすり泣く姿に胸が締め付けられる。

 翌朝、六郎はスズ子のもとを去る。前日にアサ(楠見薫)から「『まいります』はあかんで。生きて帰るつもりに聞こえるらしいわ」と言われたことを思い出す六郎だが、それを聞いてスズ子は「ほなら『まいります』でええ」と言った。スズ子の舞台を必ず見に来るという約束をして、「行ってまいります」と六郎はその場を去った。死にたくないと泣いた弟を笑顔で見送ったスズ子だが、行ってほしくない思いを押し殺すかのように握りしめられるスズ子の手元が心に残る。

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