草彅剛主演『デフ・ヴォイス』キービジュアル公開 字幕・手話放送も決定

 12月16日、12月23日に放送される草彅剛主演NHKドラマ『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』のキービジュアルが公開された。

 本作は、丸山正樹による同名小説を原作としたヒューマンミステリー。“読書の甲子園”と言われる全国高校ビブリオバトルでグランドチャンプ本にもなった原作小説は、読者の熱い要望によりシリーズ化された。今回の実写化はシリーズ1作目を基にしている。仕事や家族を失い、人生に迷う主人公が自分の唯一の技能である手話を活かして“手話通訳士”になり、新たな人生のスタートを切る物語が、殺人事件をめぐるミステリーとともに繰り広げられていく。

 草彅が演じる主人公・荒井尚人は、ろう者の両親の間に生まれた耳が聴こえる子ども、コーダ(Children of Deaf Adultsの略)であり、自身の生き方や他者との関わり方について悩み、現在と過去の事件を追う中で自身が果たして何者なのか周囲の人から問われ自分自身にも問いかけることになる人物。演出を担当するのは、NHKドラマ『岸辺露伴は動かない』シリーズなどを手がけた渡辺一貴。制作統括の伊藤学プロデューサーを中心に3年前からじっくり取材を重ねていった。

 キャストには草彅のほか、橋本愛、松本若菜、遠藤憲一らが名を連ねている。

 公開されたキービジュアルのデザインを手がけたのは石井勇一。画像加工をしない実験的な撮影方法により、ハンドサインで型どった色彩の光をその場で撮影するポートレート写真に多重露光することで、くっきり見える部分と見えない部分をつくり「聞こえる・聞こえない」というドラマのテーマを視覚的に表現した。

 また、本作は、ドラマでも描かれるろう者・難聴者の方々をはじめ、字幕や手話をつけた放送を予定している。NHK総合、NHK BS プレミアム4Kでの放送には、全てのセリフに字幕をつけて放送(リモコンなどで「字幕」表記の選択をする必要はなく、通常放送として音声日本語(しゃべりゼリフ)と手話に字幕がつけられる)。Eテレでは、すべてのセリフに対して、「手話」が画面上に表示される。

 12月13日20時より放送の『ハートネットTV』(Eテレ)では、ドラマ撮影のメイキングや草彅、橋本のインタビューなど、『デフ・ヴォイス』の舞台裏に迫った番組も放送される予定。さらに、手話をつけてのドラマ放送と同日の2024年2月4日14時45分からは1時間の特集番組(Eテレ)が放送される予定だ。

 20名近い(エキストラも含めると30名以上)、ろう者・難聴者・コーダの役を実際の当事者が演じていることが大きな特徴でもある本作。撮影に手話監修・手話指導として関わった木村晴美、米内山陽子、江副悟史、制作統括の坂部康二プロデューサー、および出演した当事者からのコメントが寄せられている。

コメント

石井勇一(キービジュアルデザイン)

ビジュアルは、写真家の濱田祐史さんを起用し実験的な多重露光撮影を現場でトライいたしました。偶発的に重ねた色彩溢れる光の形状は“家族”を意味するハンドサインの断片で構成されており、本作の作品性に合わせたあらゆる世界における見えるもの・見えないものや無常感などを視覚的に体現したものになります。

木村晴美(手話・ろう者監修)

デフ・ヴォイスは、コーダが主役の物語ですが、オーディションで選ばれたろうの俳優さん達の演技も見逃せません! 草彅さん演じる尚人さんと絡むシーン等で、名もなきろう俳優さん達が存在感を示しています。名もなき俳優と書きましたが、ろうコミュニティの中では有名な俳優さん達です。渡辺監督がオーディションで楽しそうにしていたのが印象的でした。どんなふうに展開されるのか、手話の入ったカメラアングルはどうなっているのか、ぜひ、最後までお楽しみください。

米内山陽子(コーダ考証・手話指導)

ろう者の役は、ろう者の俳優に演じて欲しいーー。
私たちの長年の悲願が叶いました。
丸山さんの素晴らしい原作と、高橋さんの繊細な脚本、渡辺監督の温かなまなざしのもと、
老若男女、さまざまなろう者がこの作品に集い、魅力的なお芝居をしています。
カメラの前で繰り広げられる彼らの演技に心が震えました。
それを受け止める草彅さんをはじめとする聴者キャストの懐の大きなお芝居に胸があつくなりました。
手話監修の木村さんの的確さ、バディのように共に手話指導に挑んだ江副さんの頼もしさ、現場に手話通訳に入ったはせさん、小松さん、井本さんの仕事ぶりに助けられました。
私たちはそれぞれ違う人間で、それは当然尊重されるべきことです。
けれど同じ部分が間違いなくある。
悲しむこと、喜ぶこと、心を寄せること。
この作品をきっかけに、世界がもっと色を増していきますように。

江副悟史(手話指導)

手話界で大きな話題になった『デフ・ヴォイス』がドラマ化され、さらに手話指導としてオファーが来たときはとても驚き、ともに嬉しくなりました。
またろう者役を当事者に演じてほしいということは、喜びとともに不安も大きかったです。ろう俳優のほとんどが舞台経験者が多く、映画やドラマで演じたことが少なかったからです。
プロデューサーを始め、渡辺監督、スタッフの方々にお願いして、ろう俳優対象に「模擬撮影現場」というのを丸1日開催し、リアルな撮影現場を体験してもらいました。また私の方から撮影現場での行動、心構えなども色々と話した上で撮影に入りました。そのおかげでろう俳優もやりやすい環境で撮影に臨めたかなと思います。
ろう俳優の手話も十人十色で、個性的な手話表現も多く、手話指導としても、とても楽しかったです。それぞれ手話の「色」を尊重し、尚人役の草彅さんも、ろう俳優の役柄に合わせて手話表現を変えていかないといけないので、自然な会話に見えるように調整しながら指導してきました。当初は大変だったと思いますが、撮影現場でろう俳優と絡んでいくうちに慣れてきて、きちんと使いこなせるようになりました。
手話指導するときは、自分の指導方法を形にはめて教えるのではなく、草彅さんの覚えやすいやり方で、色々と試行錯誤しながらやってきました。草彅さんに「ダンスの振り付けみたいだな」と言っていただいたのをきっかけに、手話の文法が壊れてしまわないよう、文脈に合わせて丁寧に指導しました。そこから草彅さんも覚えやすくなってそのまま最後まで走ってくれました。
出演者のほかに裏方のスタッフさんとも私の方から積極的に交流して、ロケバスの運転手さんまで凄く仲良くなって(笑)ご飯も行ったり、通訳なしで2人で色んな会話をしたり、とても楽しい現場でした。
『デフ・ヴォイス』をぜひ多くの方々に見てもらいたいと思います。

坂部康二(制作統括)

聞こえるひと、聞こえにくいひと、聞こえないひと。たくさんのひとにドラマを楽しんでいただきたいと考えました。総合とBSプレミアム4Kでは、「字幕」ボタンを押すことなく、“同じ”番組を一緒に楽しんでいただけます。またEテレでの放送では、ドラマに手話翻訳をつけて放送します。多様なひとを描くドラマだからこそ、多様なひとに楽しんでいただけるようにしたいと考えました。これによって、「エンターテインメント」としてこのドラマが持つ力が広く伝わったらうれしいです。普段、福祉番組を作っているチームによる、舞台裏を描いたドキュメンタリーも、ぜひご覧ください。

五十嵐由美子(尚人の母・荒井道代役)

五十嵐由美子と申します。
荒井尚人の母役をやらせていただきました。
遠く離れた尚人を声で呼ぶシーンがあります。
舞台の方では2回、単語ぐらいの短い台詞の経験はありますが、テレビで見ていただくということは、全国の方々に広がるので、足が震える思いと、失敗は出来ないプレッシャーがありました。
与えられた役が私の使命と感じ、『デフ・ヴォイス』のタイトル通り、ろうの声をあげるというシーンにありのままに取り掛かりました。
渡辺監督に声の大きさや長さを伺い、その通りにあげました。
自分の声が聞こえない、大丈夫だろうか、どんな音色なのか、変な声なのかと気になっています。
でもこれが私のありのままの声、ろう者の声はみんなそれぞれで、五十嵐の声と受け取って観ていただけたらと思います。

江副凌大(CODAの少年役)

初めて自分のセリフがあってとても楽しかったです。きちょうな体けんになりました。あたたかいさつえいの日で冬の服を着なきゃいけなかったのはとてもあつかったです。ありがとうございました。

榎本トオル(門奈哲郎役)

原作は何度読んだろう。ドラマの放送を待ちながら、今も読み返しています。
こんなふうにろう者が多く登場するドラマは今までにありませんでした。
ろう者はひとりひとりが個性的で、手話表現も少しずつ違います。
このドラマを通じて、たくさんの人にろう者やコーダのことを知ってもらえたら、
そして登場人物たちの悲喜こもごもの愛と絆を感じてもらえたら嬉しいです。

小川光彦(片貝俊明役)

幼児の頃からの聴覚障害者です。自分が何者なのか、成人後もわからずにいた時期が長かったです。それが還暦でドラマに出演することになるとは、夢にも思いませんでした! 苦しんでいた当時の私に教えてやりたいです。
オーディションの話をいただいたとき、演技経験のないオガワになぜ?と思いましたが、制作の皆さんが、このドラマに当事者が出演することをいかに重視しているかがわかり、強く共感しました。片貝弁護士役であることを知ったのはその後で、さらに驚きました。
役に恥じないよう、60年生きてきたオガワの聞こえない耳で、手で、視線で、声で、知識で、全てを総動員してリアルな演技に務めたつもりです。
でも無用な心配だったようです。大勢のろうの出演者が補って余り有る、見事な演技を見せてくれました。ぜひご覧になっていただきたいです!
彼ら彼女らが活躍出来る場が、もっともっと広がることを願っています。チャレンジさせてくださった皆さん、これまでオガワを支えてくださった皆さんに、心から感謝申し上げます。

忍足亜希子(尚人の母・荒井道代(回想)役)

10年ほど前に原作者の丸山正樹さんとお会いし、色々お話させて頂いたことがありました。
 今回NHKでドラマになると聞いて、あの時の丸山さんの作品への思い、ろう者への思いが小説から飛び出しドラマになるんだと思うと、とても嬉しくなりました。 そして私も出演させていただくことになり、とてもご縁を感じました。 他にも多くのろう者が出演されたことは、ろう者にとって大きな希望ですし、ろう者の役をろう者自身が演じることで作品によりリアリティを深められたのではと思います。 ドラマを観ていただく方にはろう者のこと、手話のことをもっともっと知って欲しいです。そしてこれから手話が当たり前になって自然な形で社会に浸透していけたら嬉しいです。 私は俳優になって24年、演じることの楽しさはずっと変わらず今作品でも本当に楽しく撮影させていただけました。 今作品のような、ろう者と聴者が共に歩みながら演じられるドラマをこれからもたくさん作ってほしいです。 このような機会を作ってくださり本当にありがとうございました。

數見陽子(『海馬学園』の元職員・橘千鶴役)

普段は舞台関連の活動をしていますが、今回は映像分野でしかもろう者界で知られている『デフ・ヴォイス』に出演させていただけたことを光栄に思っています。
舞台の場合、演者も観客もその瞬間にしか出会えない空間と時間と緊張感に、ワクワクします。
映像撮影では、目の前に観客は存在せず、あるのはたくさんのカメラだけです。いろいろな角度から撮られるワンシーン、ワンシーンの繋がりでストーリーが完成します。でもそのワンシーンにも、空間や時間や緊張感が確かにあって、そこに演じる相手と自分が存在していることは新たな発見でした。
視聴者の皆さんには、いわば時間差でこの空間を観ていただくわけですが、どんなふうに届くのか楽しみです。
放送日には、一視聴ならぬ視観者としてドラマ『デフ・ヴォイス』にワクワクしたいと思います。

河合依子(冴島素子役)

草彅剛さん演じる(CODA)荒井尚人を見守る良き理解者、冴島素子を演じました河合依子と申します。
私自身40年以上舞台俳優として活動してきましたが、TVドラマに出演するのは初めての経験です。
とても良い勉強になり良い経験をさせていただいきました。
渡辺監督をはじめ手話監修、手話指導、スタッフ、関係者の皆様に心から感謝しております。
舞台ですと流れや動き等、舞台上で展開されることからイメージしつつ演じる事ができるのですが、TVドラマになると自分の出演シーンの撮影をし前後のシーンが見えておらずどんなイメージになるのか不安でした。
しかし、渡辺監督がイメージや素子の感情等を丁寧にお話ししてくださり、手話指導の米内山陽子さん、江副悟史さんの指導もあり演じきる事ができました。
この作品には私と同年代のろう者が出てきます。
当時ろう学校にて手話禁止の厳しい口話教育の時代があり、そのろう者の気持ちが痛いほど私にも分かります。
良い作品にすべく私も一生懸命やらせていただきました。
他にもたくさんのろう者が出演しており嬉しいです。
今回の出演者含めたくさんの素晴らしいろう俳優がいますので、この作品のみならずドラマなどに出演する機会が増えたら良いなと思っております。
12月の放送をとても心待ちにしております。

佐沢静枝(哲郎の妻・門奈清美役)

『デフ・ヴォイス』はろう者や手話通訳の間でもろう者・難聴者の様々な社会問題を見事に盛り込んだサスペンスとして大好評の小説。門奈哲郎の妻を演じる日が来るとは夢にも思いませんでした。長年、ろう者の役はろう者が演じて欲しいという切なる願いが今回叶って嬉しく思います。 口話教育に価値があるという信念を持つ人に対して無抵抗だった時代、色々な葛藤を持ちながらも、ろうの夫、娘を支えながら静かに勇ましく生きる女性を演じました。ぜひ、たくさんの方にご覧いただきたいです。

雫境(『海馬学園』の元職員・三瓶要役)

リハーサルで役の背景や心象について手話通訳者を介して演出の渡辺さんと確認し合ったり、手話指導の江副さんと米内山さんから表現の助言をいただいたりしました。また撮影現場の流れや方法などについて事前に充分な説明を受けました。本番に緊張はありましたが、前述のような準備期間があったことが功を奏して不安なく臨み、役に集中することができました。ろう・難聴の役者にとってこのような環境は大変貴重なので、次の新たなる現場にも引き継がれていって欲しいです。ありがとうございました。

田代康生(荒井尚人(幼少期)役)

はじめまして、こうせいです。僕がすごくビックリしたことは、オーディションに受かって、役は荒井尚人(幼少期11才)になって、親子でこの作品に出演できたことです。僕はコーダの意味があんまり分からなかったけど、オーディションに受かってからコーダの意味を知りました。撮影が終わったときに一番感じたことは、楽しかったことです。撮影中は疲れるけど、途中から楽しくなって、はやくテレビで見たいという感情で頭の中がいっぱいでした。僕は、オーディションも含めて沢山の人に感謝しています。特に感謝しているのは、母親役の忍足さんと手話指導の江副さんです。撮影する前とかすごく緊張していたけど、忍足さんは優しく言ってくれて緊張がほぐれました。江副さんは撮影前に僕がやる手話を何回も確認してくれて失敗しませんでした。改めて本当にありがとうございました。

田代英忠(尚人の兄・荒井悟志役)

舞台が主の私がオーディションに初めて受かったテレビドラマです。また私の息子も出演しまして何とも思い出深くなりました。
私の役は主役の兄、脚本を読んでみると私にも実際の健聴の弟がいるせいか、当て書きしてくれたのかと錯覚するほど、ろうと健聴の兄弟による葛藤のエピソードが練られていて、なんで分かるの?と感じたものです。
本番は弟と絡み、また対峙していくシーンで数回、終わってみて兄の口調で言うなら「まあ妻と息子が一緒なんで心細くもなかったけど、さすが弟、すかしたり、かわしたり、でもしっかりと返してきやがる。最後なんかぶつかり合ったのに、なんだ、この爽快感はよ。弟が頼もしく見えたな。ああ、もっとやりたかったなぁ。」
オーディションから始まって打ち合わせや撮影の現場で皆さんよくしてくださいました。あの顔この顔が浮かんできます。
このドラマを見て、何か琴線に触れたら嬉しいです。

長井恵里(CODAの少年の母親役)

原作を読んだとき、ろう者が登場する題材をエンタメ・ミステリーに昇華していることに衝撃を受けました。
また、ろう者の生活情景が丁寧に描かれていることに感動し、一気にファンになりました。
今回ドラマ化されるだけでもワクワクするのに、出演させていただくことになり興奮しています!
ドラマの現場では制作側の誠実さが伝わり、聴者もろう者も関係なくプロ意識を持って作品に取り組む空気感に圧倒されました。
そして、尊敬するろう者の先輩役者方の演技にきっと心動かされるはずです!
このドラマがテレビ業界に切り込みを入れ、ろう者役にはろう者、難聴者役に難聴者など
当事者を起用する動きが定着することを期待しています。

南雲麻衣(門奈幸子役)

当事者であっても演じることの難しさを痛感しています。初めてのドラマ出演ですが精一杯撮影に臨みました。
今回いただいた機会は、これまでにろう者・難聴者・コーダのパイオニアたちが言葉や文化の違いに苦労しながら、さまざまな業績を残して繋いでくださったご縁だと思います。
私が演じた幸子は、家族の中でしか自分の世界を構築できず、社会とは程遠いところで、ひっそりと生き、誰にも打ち明けられない過去を抱える複雑な役柄でした。そんな幸子が手話通訳を介して、声なき"声"を社会に届けられた時、初めて自分の人生を一歩踏み出していく。幸子のように社会との繋がりがなく、孤独を抱える人はたくさんいると思います。サスペンスドラマですが、一人ひとりがどのように生きてきたか、思いを馳せながらご覧いたただけると嬉しいです。

那須英彰(菅原吾朗役)

このドラマで、役者として尊敬する草彅剛さんと共演できて光栄でした。このような機会を与えられたことに感謝でいっぱいです。
まず出演のお話を頂いてから、役作りを入念に行いました。私に与えられた役は教育を受けられなかったろう者でした。そのようなろう者と、過去に親しくさせていただいたこともあり、その様子や彼らの手話を思い起こしては、反芻しました。そのうえで役作りをしたおかげで、自分も納得した『菅原吾朗』になれたと思います。
現場でもろう者や聴者分け隔てなく一体感を感じられ、よい現場を作り上げられたのも、裏で手話通訳の皆さんが一生懸命通訳してくださったお陰です。
演出の渡辺一貴さんを始めとするこのチームで演じられたことは本当に幸せなことであり、又このチームで演じたいと思いました。本当にありがとうございました。
このように様々な方が関わって作り上げてきたこのドラマ。ぜひ皆さんに楽しんでいただければ嬉しいです。

森田明(尚人の父・荒井敏夫役)

 “ろう者役をろう者が演じる”ことが当たり前、となる時代をどれほど待ち望んだことでしょうか。監督をはじめとする制作スタッフの方々が全員「お疲れさま」と手話で表す撮影現場が、これまであったでしょうか。
 ドラマの中でいきいきと活躍している ろう俳優を目の当たりにした ろう児らが、将来は「俳優に」という夢をごく自然に思い描けるような、そんな時代の幕開けとなる作品に参加できたことを心からうれしく感じています。

八百谷梨江(悟志の妻・荒井枝里役)

丸山先生の素晴らしい、見たこともないミステリー作品。
活字から飛び出し、声だけではない、手指で紡がれる音のない言葉、『手話』。
これはろう俳優達や私の日常であり、人生であり、命の言葉。
そして『荒井枝里』の言葉。
私に『荒井枝里』を生き、演じられるだろうか、現場でのコミュニケーションは大丈夫だろうか、と抱いていた不安は直ぐにかき消されました。
現場はいつも適度に緊張感もありつつ、でも笑顔が溢れ雰囲気が良く、安心して演じられました。
全員が一丸となって作り上げた『デフ・ヴォイス』。
作品中の役を、その時を確かに生きた、一人一人の演技。
『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』を楽しんでください。

山岸信治(益岡英雄役)

生まれて初めて選ばれ、驚きました。ドラマの撮影では失敗したり、うまくいかなかったり、色々な経験をさせていただきました。本番ではうまいか下手かわかりませんが、12月16日、23日の2回放送があります。ご覧いただけるとありがたいと思います。よろしくお願いします。

■放送情報
『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』(前・後編)
NHK総合、NHK BS4Kにて、12月16日(土)、12月23日(土)22:00〜放送
NHK Eテレビにて、2024年2月4日(日)、2月11日(日)15:45〜放送

出演:草彅剛、橋本愛、松本若菜、遠藤憲一ほか
原作:丸山正樹
脚本:高橋美幸
演出:渡辺一貴
音楽:原摩利彦
手話・ろう者監修:木村晴美
手話指導:江副悟史、米内山陽子
ろう者俳優・手話通訳コーディネート:廣川麻子
制作統括:伊藤学(KADOKAWA)、坂部康二(NHKエンタープライズ)、勝田夏子(NHK)
写真提供=NHK

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