『ブギウギ』第8週は戦火が広がる現代の写し鏡に 徴兵検査の合格で無邪気に喜ぶ六郎

 一方、大阪ではツヤ(水川あさみ)の体調がますます悪化し、いつもは「熱々や」としか言わない熱々先生(妹尾和夫)が「大きな病院で見てもらったほうがええ」と勧めるまでになっていた。もはや身体を温めるだけではどうにもならない状況なのだろう。ツヤが番台にいつまで経っても帰ってこないことを常連客たちも心配しており、当たらないで有名な易者(なだぎ武)の「もう少しで戻ってきます」という占いの結果に今だけはすがりたくなる。現在、ツヤの代わりに番台に座っているのは六郎(黒崎煌代)。しかし、その六郎に召集令状が届いたのだった。まさかツヤが戻ってくるというのはこういうことだったのか。

 徴兵検査で甲種合格となった時もそうだが、無邪気に喜ぶ六郎と、彼を不安にさせないように気丈に振る舞うツヤの気持ちのすれ違いがあまりにも切ない。時代が変われば、死と隣り合わせの戦地に呼ばれるということが一種のステータスになってしまう。現代を生きる私たちにも決して無関係な話ではなく、羽鳥の家で話題に出た、国外退去になったという指揮者メッテルの出身がウクライナのキエフと聞いて思わずどきりとした人も多いのではないだろうか。その場所はまさに現在、ロシアによるウクライナ侵略で戦地と化している。加えて、イスラエルとハマスの軍事衝突による悲惨な人的被害の報告が日々SNSで流れてくる今この時だからこそ、スズ子たちの世界がどう変化していくのかをしっかりと目に焼き付けておきたい。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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